2018 Fiscal Year Research-status Report
COP1を中心とする発がん・エネルギー代謝ネットワークのリプログラミング
Project/Area Number |
17K07387
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 規子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 博士研究員 (10252785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 順也 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00273839)
横山 隆志 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00535833)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発がん機構 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の発がん過程において、がん細胞は自らの増殖に都合良くエネルギー代謝経路を再構築することが知られているが、その実態は明らかでない。申請者らは、E3ユビキチンリガーゼCOP1の研究から以下のことを見いだした。1)COP1-Trib1複合体によるC/EBPalphaの分解促進が分化阻害を惹起し、白血病発症の原因となる。2)白血病関連因子MLF1はCOP1を結合阻害し、C/EBPalphaおよびMLF1-COP1-p53がん抑制経路の安定化に寄与する。3)COP1 の新規標的分解因子群を同定し、既知・新規ともに機能的に例外無く、発がん関連およびエネルギー代謝経路に分類される。これらの研究成果を踏まえ、本研究では、発がん過程で、がん細胞が如何にして増殖に必須の特異的エネルギー代謝機構を獲得するのかを、COP1を中心とする発がん・エネルギー代謝ネットワークの研究から明らかにすることを目的とした。 初年度(平成29年度)は、E3ユビキチンリガーゼCOP1-Trib1複合体による白血病発症機構に、COP1 の新規標的分解因子、特に代謝関連因子が関与する可能性を検定した。その結果、COP1-Trib1複合体は、骨髄系前駆細胞分化促進因子C/EBPalphaばかりでなくACCを含む代謝酵素群をも分解標的とすることを見いだした。主な標的代謝因子群の遺伝子クローニングと発現ベクターの構築を終えた。 次年度(平成30年度)は、上記発現ベクターを用いて、細胞培養系を用いた基本的な解析(直接結合、蛋白質分解能、ユビキチン化能、欠失変異体を用いた特異的結合部位の特定)を行い、COP1-Trib1複合体による分解制御を受けにくい代謝酵素変異体を作製した。これら代謝酵素群及びその変異体が白血病発症過程に与える影響を骨髄移植マウスモデルを用いて現在、検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)交付申請書に記載した内容に基づいて、おおむね順調に進展している。細胞培養系実験で得られた成果を、現在、骨髄移植マウスモデルにて検証中である。コントロールマウスモデルの白血病発症に約4ヶ月以上を要するため、やや時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画した実験はほぼ予定どおり進行している。29年度から30年度前半で得られた細胞培養系での解析結果をもとに、COP1-Trib1複合体発現骨髄移植による白血病発症マウスモデル実験系を用いてCOP1が標的とする代謝酵素群の白血病発症機構への関与を詳細に検討中である。
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Causes of Carryover |
(理由)COP1が標的とする代謝酵素群は約265 kDa以上と非常に大きな蛋白質群を含むことから、一部因子とその変異体の遺伝子クローニングおよび各種発現ベクター構築に予定より時間を要した。さらに、変異体を含む多因子群の骨髄移植による白血病発症マウスモデルの解析が必要になった。
(使用計画)実験結果自体は当初の予想以上の成果が得られていることから、31年度(令和元年)以降は、さらにマウスモデル実験を主体とした代謝経路の解析を行い、臨床応用の可能性に繋げたい。
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Research Products
(5 results)