2017 Fiscal Year Annual Research Report
PP2Aを標的とする新規DNAチェックポイント経路の同定とその定量的理解
Project/Area Number |
17K07388
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
持田 悟 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (60590304)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タンパク質リン酸化 / PP2A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はゲノム情報の正確な継承を保障しているDNAチェックポイントに関して、Cdk1以外の標的分子を新規に同定しその分子メカニズムを明らかにすることを目指した。さらにDNA-Chkは分裂期進行を絶対的に阻害するという定性的な考えが主流であったが、実はDNA-Chkは分裂期に必要なCdk1活性レベルを相対的に上げているという定量的視点に基づき、各標的分子の活性を定量的に解析することによって、DNA-Chkを計算・操作可能な1つのシステムとして包括的に理解すること目指した。本年度には再構成したPP2A活性制御系が、組換えタンパク質Chk1によって影響を受けるのかを検証し、受けるとすればそのリン酸化ターゲットはいずれの因子かを同定することを目指した。この中でChk1タンパク質はまず大腸菌系にて活性型(カルボキシ末端領域の欠失変異型タンパク質)が発現可能であることを確認した。次にこのChk1タンパク質をPP2A再構成系に加えたところ、添加量依存的にPP2A活性の制御影響を及ぼした(PP2Aの抑制を阻害した)ことから、DNAチェックポイント因子であるChk1がPP2A制御因子に直接的な関係を持っていることが明らかになった。このことは本研究課題の方向性が間違っていないこと、さらにはDNAチェックポイントの新規標的因子がPP2Aの制御に関わることの直接的な証左であり、さらには再構成系に含まれるわずか8因子のなかにChk1の直接のターゲットがあるということを強く示している。現在までにChk1のターゲットがが再構成系のいずれの因子なのか、同定に至っていないのは残念なことである。
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