2019 Fiscal Year Annual Research Report
genetic analysis of cellular adaptation to glucose starvation
Project/Area Number |
17K07394
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
齋藤 成昭 久留米大学, 付置研究所, 教授 (30352123)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 栄養飢餓ストレス / 細胞応答 / グルコース / 解糖系 / TORキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞には、細胞外の栄養状況に応じて細胞内の機能を調節する応答メカニズムが備わっている。分裂酵母Schizosaccharomyces pombeにおいては、細胞外グルコース濃度の変化に応答してグルコース輸送体の発現量や配置が調節され、細胞生育能の維持に寄与するような細胞応答メカニズムが存在している。本研究では、(1)細胞外グルコース濃度の変化を感知する「センサー機構」と、(2)その変化に応じてグルコース輸送体の遺伝子発現や配置を制御する「応答機構」に関わる遺伝子群を、分裂酵母を用いた遺伝学的スクリーニングによって同定した。 (1)に関して、分裂酵母には「細胞外のグルコース濃度」そのものを感知する経路と、「細胞内解糖系フラックス(=解糖系によるグルコース代謝速度)を感知する経路の2つのメカニズムが存在することを明らかにした。二つの独立な感知機構が協調的に機能することで、より適切な栄養環境応答が可能となるのだろう。 一方、グルコース輸送体の細胞内局在のコントロールに関しては、TORC2キナーゼ経路が重要な役割を果たしていることがすでに判明していた。本研究で実施した遺伝学的スクリーニングにより、TORC2キナーゼ経路は、細胞膜上に配置されたグルコース輸送体を細胞内へと戻すエンドサイトーシス経路のコントロールに関与していることが明らかとなった。TORC2キナーゼ経路が欠損すると、本来グルコース輸送体を細胞表面にとどめておくべき状況下でエンドサイトーシス経路が活性化してしまい、結果的に、グルコース輸送体が正常に機能できなくなるらしい。ヒトにおいてはTORC2キナーゼと糖尿病の関連性が指摘されている。本研究の成果は、糖尿病発症機序のより詳細な理解に役立つだろう。
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Research Products
(5 results)