2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒト多能性幹細胞維持における細胞間コミュニケーションの役割と新規情報伝達機構解析
Project/Area Number |
17K07395
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大串 雅俊 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (00462664)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ヒト多能性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、ヒトES細胞のトランスクリプトーム解析を進める中で、神経ガイダンス因子SEMA6AがヒトES細胞で高発現していること、また多能性の喪失に伴い発現がドラスティックに低下することを見いだした。前年度に引き続き、ヒトES細胞におけるSEMA6Aの機能を明らかとするために、先行研究(Chen Y et al, Cell Stem Cell, 2015)のストラテジーに微調整を加えながら、SEMA6Aコンディショナルノックアウト(SEMA6A cKO)ヒトES細胞の樹立を試みた。前年度は、前述の論文に従って。ヒトSEMA6Aローカス中のエクソン2をflip標的配列で挟んだゲノム編集株を作成し、タモキシフェン誘導型Flipase(ERT2-FLP)によるエクソン2欠損誘導を試みたものの、報告されている様な高効率のKO誘導は認められなかった。そこで、Flipaseの組替え効率に難がある可能性を考え、Cre標的配列に置き換えるとともに、Creの活性制御をより精密に行うため、Creタンパク質を両末端からERT2で挟み込んだERT2-Cre-ERT2を採用した。それに伴い、薬剤耐性遺伝子カセットの除去にはFlipaseを用いることとし、以上の変更を加えたターゲッティングベクターを作り直した。ノックイン株の樹立、樹立株からの薬剤耐性遺伝子カセットの除去、およびAAVS1サイトへの人工ホルモン誘導型Cre(ERT2-Cre-ERT2)のノックインは、前年度と同様の2ステップストラテジーで実施し、SEMA6A cKO細胞株を5クローン樹立、それぞれのゲノム改変はPCR及びシークエンスにて確認した。現在は、タモキシフェン誘導体によるCreの活性化と、エキソン2の欠損誘導が上手く動くかどうかの動作確認を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ターゲッティングベクターの再構築、Cre変異体の作成など、1からのやり直しとなる作業も多く、また2重のノックインクローンの作成には約6ヶ月を要するため、計画はほぼ一年遅れとなってしまっている。ただし、この過程で、KI効率を大幅に向上させる実験条件を見出しており、今後は細胞調整のスピードアップが期待できる状況に至ったことは予定外の成果といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
調整を終えたcKO細胞株の動作確認を急ぎ、SEMA6Aの必要性の是非に答えを出す。また、新たにCRISPR interference法の導入を試みており、こちらも発現誘導系に置き換えたのち、KO法とは異なるアプローチでの内在性Semaphorinシグナルの必要性確認を進める。
|
Causes of Carryover |
細胞調整に手間取ってしまったため、計画していた質量分析やオミックス解析に充てる費用が次年度繰越となったため。ノックアウト細胞の動作確認を終え次第、予定していたこれらの解析に進みたい。
|