2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07400
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 一穂 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (20642565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内物質輸送 / ゲノム編集技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は両生類の黒色素胞をモデルシステムとし、細胞内輸送制御機構の分子的詳細を明らかにすることを目的とする。特に黒色素胞内のメラノソーム輸送における細胞骨格間の乗り換え機構の解明を試みる。本年度は本研究遂行のための主幹技術であるゲノム編集法の高効率化を進め、人工ヌクレアーゼの新規簡易構築法を確立した。新規構築法では、従来法より大幅に数を抑えた最小限のライブラリープラスミドを使用し、1日で最終産物の構築が可能となった。また、コドンをリピート毎に変更し、DNAレベルの繰り返し程度を低減することにより、培養細胞への人工ヌクレアーゼの遺伝子導入効率と安定性が格段に向上することを示した。これに加え、通常は核酸として細胞内へ導入する人工ヌクレアーゼを、蛋白質として導入することで、変異のバリエーションを低減させる等、導入手法の改善を進めた。また、Tol2システムを利用した遺伝子挿入と、任意遺伝子のC末へのタグ配列の付加を組み合わせた、任意遺伝子の発現や局在の追跡を容易に可能にするためのゼブラフィッシュの系統作成も進行している。さらに局所詳細釣り合いに基づく揺らぎの定理を利用した、小胞上の分子モーター数の直接測定に関しての共同研究も順調に推移している。本年度は以上に加え、実施計画外の試みとして、黒色素胞の不死化のための試みを実施した。2種類の遺伝子を導入し、黒色素胞細胞の細胞株化を目指した。現在までのところ株化には成功していないが、黒色素胞細胞の不死化は、遺伝子操作を含む研究遂行において大きな利点があるため、引き続き挑戦する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主幹技術の一つであるゲノム編集技術の効率と実用性を向上した。局所詳細釣り合いに基づく揺らぎの定理を利用した、小胞上の分子モーター数の直接測定に関しての共同研究も順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に引き続き黒色素胞細胞の不死化と株化に向けた複数のアプローチを検討・実施する。これにより遺伝子操作を含めた実験全般の効率の向上を目指す。同時に、改良したゲノム編集技術を用い、標的遺伝子へのCIDタグの導入を実施し、小胞の細胞骨格乗り換えに際する分子モーター数制御の機構解明に迫る。
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Research Products
(1 results)