2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックスを介した新たなPCP制御機構の解明
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17K07403
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鮎川 友紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80586165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正和 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40373378)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 平面内細胞極性 / PCP / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮組織の細胞は、細胞の頂部-基部軸と直交する組織平面の軸に沿った極性を有する。これは、平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)と呼ばれ、進化的に保存された現象である。PCPの主要制御因子はその機能的な違いから大きく2つのグループに分類される。我々は、既存のPCP分子とは全く異なる機能を有するPCP制御分子群を同定することに成功している。この分子群は、細胞外マトリックス(extracellular matrix; ECM)分子Dumpyを含む複数の因子から構成され、既知のPCPグループとは異なる機能を有する第三のPCP制御グループ(以下、第三のPCPグループと略記)を形成する。しかしながら、PCP制御系における第三のPCPグループの役割は不明である。本研究では、ECMという新たな視点から、第三のPCPグループの機能を解明する。 ショウジョウバエ蛹の背板上皮では、細胞の基底面(basal)と頂端面(apical)にECMが存在する(それぞれbECM、aECMと略)。平成29年度は、bECMがPCP制御においてはたす役割について検討した。我々はbECM構成因子の分解を司るマトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子に着目し、Matrix metalloproteinase1(Mmp1)とMmp2遺伝子の強制発現およびRNAi(bECM構成因子の分解亢進と抑制)をショウジョウバエ背板において行った。その結果、Mmp1やMmp2遺伝子の強制発現やノックダウンでは顕著なPCPの表現型は観察されなかった。背板におけるPCP制御において、bECMは重要な役割をはたしていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で提案した通りに研究計画をおおむね順調に進めており、「研究の目的」を達成することが可能であると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はbECMがPCPにはたす役割について検討を行った。平成30年度は、aECMが、PCP制御においてどのような機能を担うのかに関して、aECM構成因子であるDumpyを中心に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
理由 ショウジョウバエ蛹の背板上皮では、細胞の基底面(basal)と頂端面(apical)にECMが存在する(それぞれbECM、aECMと略)。近年、ゼブラフィッシュやマウス、ショウジョウバエにおいて、Fz/Fmiグループ分子の機能欠損により、細胞基底面のECM(bECM)の発現低下や局在異常が惹起されることが報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 106, 14426-14431, 2009; eLIFE 5, pii: e18979, 2016など)。また、上述したように、我々は背板のPCP制御における、細胞頂端面のECM(aECM)の重要性を見出しているが、背板のPCP制御におけるbECMの機能の重要性は明らかでない。本研究を進める上で、この点を明らかにすることは本研究の方向性を決める上で重要であると判断し、計画書では平成30年度以降に実施予定であったPCP制御におけるbECMの役割について平成29年度に検討した。このため、平成29年度に実施予定であったaECMに焦点を当てた解析の一部が未実施となった。平成30年度は、未実施となった計画を行う必要があり、そのための繰越金(抗体などの試薬購入費)が生じた。 使用計画 平成29年度からの繰越金を合わせ、効率よく実験を進めることで申請書の研究実施計画を予定どおり遂行する。
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Research Products
(3 results)