2018 Fiscal Year Research-status Report
Trimming of maternal mRNA during meiosis reinitiation
Project/Area Number |
17K07405
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
千葉 和義 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70222130)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | mRNA / ポリA鎖 / 減数分裂 / CPSF |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトデ卵母細胞サイクリンBのmRNAの短いポリA鎖にはオリゴUが結合しているが、このU修飾はmRNA分解を引き起こさず、その役割は明らかでない。興味深いことにUを含む3'末端は、減数分裂再開時にトリミングされ、引き続きポリA鎖が伸長して活性化され、サイクリンBの翻訳が開始される。もしもトリミングが終了しなければ発生・細胞分裂に不可欠な サイクリンBが分解され尽くされて、致死となるだろう。そこで本研究では、トリミング終了機構と、さらにはオリゴU修飾の役割を明らかにすることを目的としている。 トリミングが終わる領域には、ポリA伸長に関与する(と報告されている)CPSFが結合する「AAUAAA」配列が存在するので、「AAUAAA」に結合しているCPSFの立体障害でトリミングが終了する、という仮説を立てた。本年度、「AAUAAA」を「AAGTTA」または「AATGGA」に変異させたmRNAを合成して卵に注入したところ、これらにおいてもトリミングは終了した。この結果から、トリミングの終了には「AAUAAA」配列は関係なく、さらに驚いたことに、「AAUAAA」配列なしでも細胞質ポリA化が起こることが判明した。同様な結果は、リボゾームタンパク質mRNAの3’末端についても、見出された。これらの結果は、カエル卵においてCPSF結合配列「AAUAAA」が、細胞質ポリA化に必要であるという報告と矛盾するものであり、これがヒトデに特異的なものなのかどうかを確認する必要がある。より重要なこととして、リボゾームタンパク質mRNAの3’末端ポリA鎖はGVBD後にトリミングされ、新たに数塩基のオリゴUが結合することが、人工合成したmRNAを卵内に注入することで、確認できた。この結果はU化酵素がGVBD以降にも活性化することを意味しているので、U化機構とU化の意義を解析する優れた系となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mRNAトリミングはCPSF認識配列には関係せずに、終了することが明らかになった。現在、トリミング終了機構としては、GVBD初期の脱U/A化酵素活性が、ポリA化酵素の活性上昇と競合する結果として、トリミングが途中で終了して、ポリA伸長するものと考えている。実際、人工合成したサイクリンmRNAを卵に注入すると、内在性のサイクリンmRNAのトリミングが阻害されるが、ポリA化は両者とも阻害されない結果が得られており、上記仮説をサポートする実験根拠となっている。一方、すでに述べたように、本年度には人工合成したリボゾームタンパク質mRNAの3’末端を卵に注入するとU化される実験系を確立できたことで、U化に関わる分子を探索できる成果が得られており、良好な展開となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出したリボゾームタンパク質mRNAのU化を活用して、U化にかかわる酵素を明らかにするとともに、U化の生物学的意義を明らかにする。その手掛かりとしては、胞胚期以降にサイクリンB mRNAのポリA鎖が短縮し、U化され、分解されてしまうことを本年度見出している。この結果は、発生が進むとU化がmRNA分解シグナルとして働きだすことを示唆している。これが本当に正しいかどうかを確かめるために、人工合成したサイクリンB mRNA もU化されることを確かめる必要がある。なぜなら、ザイゴティックに合成されたものがU化されたのではなく、たしかに母性mRNAがU化されていることを確認する必要があるからだ。次年度は、これらを明らかにするとともに、発生ステージに応じて、U化の意義が変わってくることをしっかりと証明して、より包括的なU化の意義についても明らかにすることを目標としている。
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