2017 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of gamete recognition in the syncronous spawning coral Acropora
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17K07414
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
守田 昌哉 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (80535302)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミドリイシ属サンゴ / 配偶子認識 / 受精 / 多種同調性産卵 / 精子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミドリイシ属サンゴは多くの種が同調して産卵するため、産卵後、海中には多くの卵と精子が混在した状態であると推察される。したがって、同調して産卵するミドリイシ属サンゴの生殖隔離は、受精時の配偶子認識に依存した受精の種特異性が深く関与する。これらを明らかにするため、受精の種特異性に関与するタンパク質の同定と機能解析を進めた。本年度は、1)受精の種特異性に関与する可能性のあるタンパク質に対する抗体を用いた受精実験、2)異種間受精するミドリイシ属サンゴの受精条件及び異種間受精の可能性、3)配偶子認識タンパク質の遺伝子単離のための準備を行った。1)に関して、これまでにコユビミドリイシ(Acropora digitifera)の精子を用いて、種特異的な高原決定基をもつタンパク質に対する抗体を作成している。今回は、その抗体を用いた受精阻害実験を、コユビミドリイシ及び産卵期の異なる隠蔽種sp.1を含む5種のミドリイシ属サンゴで行った。これまでに、kコユビミドリイシとsp.1は配偶子認識が似ており、種特異的な抗原決定基も似ていることが判明している。それ以外の3種(サボテンミドリイシ、トゲスギミドリイシ、ウスエダミドリイシ)は異種間受精も抗原決定基も似ていないことが判明している。これらの5種で、抗体を用いた受精阻害実験を行ったところ、コユビミドリイシ及びsp.1で受精阻害が見られたが、他の3種では受精阻害が見られなかった。この結果は、この種特異的な抗原決定基をもつタンパク質が種特異的な受精に関与することを示唆している。今後、さらなる機能解析を行う必要がある。2)に関して異種間受精するウスエダミドリイシとドーンミドリイシの異種間受精の可能性を野外の条件に近づけ検討した。3)に関して、1)の種特異的な抗原を持つタンパク質の複数種での比較をRNA-seqで行うため、サンプルの採集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行していると考えられる理由として、1)受精に関与するたんぱく質の同定がほぼ出来たと考えられること、2) 異種間受精する種がなぜ異種間受精能を保持しているか、その理由に迫れて来ていると予想できること、3)機能解析の具体的なプロトコールが出来たことが挙げられる。今後は、複数種での遺伝子単離を行う必要があるため、慎重に方法およびサンプルの採集時期などを検討する必要はある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として以下の項目が挙げられる。1)機能解析を行うにあたり、複数種より遺伝子の単離を行うためRNA-seqを行うこと。これは、配偶子認識タンパク質が多型に富むため通常のTAクローニンングでは単離が困難であることがわかったためである。2)配偶子認識タンパク質の精子での詳細な局在の検討をするため、透過型電子顕微鏡を用いた免疫染色が必要であるため、こちらも筑波大学下田臨海実験所で解析を行う。3)配偶子認識タンパク質の競合阻害実験を行い、種特異的な配偶子認識タンパク質の受精への関与を調べる。
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Causes of Carryover |
予定よりも研究が進行したため、次年度にくりこした。大きな理由として、次年度にRNA-seqを行うため、費用を少しでも押さえておきたかったため。今年度は、繰越した金額を物品費及び解析費用として使用する。
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