2018 Fiscal Year Research-status Report
発生分化における遺伝子の核内配置と転写の動的挙動の解析
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17K07416
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村本 哲哉 東邦大学, 理学部, 講師 (10612575)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子発現動態 / ライブイメージング / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
形態学的に同一に見えるクローン細胞集団において、1細胞レベルでのmRNA量やタンパク質の量に不均一性が報告されている。遺伝情報が読み出される転写では、遺伝子の核内配置やクロマチン構造が時々刻々と変化しており、不均一性への関与が考えられる。そこで、発生分化過程での転写動態の可視化に成功している細胞性粘菌を用いて、ゲノムDNAの核内配置との同時計測の実現を試みている。まず、標的遺伝子の核内配置を経時的に可視化するため、標的配列に対するsgRNAを設計し、dCas9-GFPと組み合わせて細胞内で発現させた。しかし、生細胞内での効率的な輝点の観察には至らなかった。sgRNAの発現効率が低い可能性が示唆されたため、tRNAのプロセシングを利用した複数sgRNAの同時発現系を構築し、複数標的の高効率での発現を実現した。この有用性は、複数遺伝子の同時改変という形で示すことができ論文で報告した。さらに、高効率でゲノム編集可能な手法が確立できたことから、ゲノムワイドなsgRNAライブラリーを設計し、ゲノムワイドスクリーニングを実施することで、発生分化が停止する変異株の単離に成功している。次にこの発現系を用い、2つの異なる標的遺伝子に対して最大36か所のsgRNAが結合できる細胞を作製し、標的遺伝子の核内配置の可視化を試みた。しかし、遺伝子の位置を示す輝点の検出には至らなかった。さらに、sgRNAに結合できるGFP分子の数を増やす方法を検討した。CRISPR/Cas9とSunTagシステムを組み合わせることで、理論上1,000分子を超えるGFPが標的遺伝子近傍に集積するように設計したが、蛍光強度の高い輝点は検出されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに効率的な標的配列の発現系の構築を実現し、さらにその発現系の有用性を示すことができた。しかし、標的遺伝子の可視化では、生細胞内で効率的な輝点の観測に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
標的特異性の高い領域の検討や標的の数を変えるなど検討することで、生細胞内での効率的な標的遺伝子の可視化を試みる。また、研究の過程で実現した高効率な複数遺伝子の改変技術をさらに発展させ、高効率なゲノムワイドスクリーニングを実現する。
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Causes of Carryover |
標的遺伝子の可視化技術の構築に手間取っているため未使用額が生じた。未使用額は、次年度行うイメージング関連の研究やゲノム改変技術の効率化のための経費として充てることとしたい。
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Research Products
(9 results)