2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of the integration of spatio-temoporal information in vertebrate somitogenesis
Project/Area Number |
17K07423
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
矢部 泰二郎 基礎生物学研究所, 分子発生学研究部門, 助教 (30470074)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 体節形成 / ゼブラフィッシュ / 器官形成 / 分節形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
体節は脊椎動物の発生過程において一過的に形成される繰り返し構造であり、発生過程の沿軸中胚葉において分節時計とwavefrontによって作り出される時空間情報をもとに形成される。このような時空間情報による体節形成制御機構を明らかにするため、このような時空間情報の下流で体節形成に必須な役割を果たすことが知られているrippy遺伝子の発現制御機構の解析を行った。具体的にはゼブラフィッシュripply2発現制御領域を含む上流8kbのプロモーター解析を行い、ヒト培養細胞においてripply2のプロモータ活性は分節時計構成因子であるHerによって直接的に抑制されることを見出し、ゼブラフィッシュ胚においてもHer1及びHer7がripplyの発現を抑制することにより体節形成のタイミングを制御することを明らかにした。また、ヒト培養細胞においてwavefrontの分子実体であると考えられるFgfシグナルの下流因子であるERKシグナルはTbx6依存的なripply2プロモーターの活性化を抑制することを見出した。この時にTbx6はERK依存的にリン酸化されていることから、ERKによるTbx6のリン酸化を介してwavefrontはripplyの発現を制御する可能性が考えられた。現在ゼブラフィッシュ胚を用いてこれらの可能性の検討を行うとともに、この様な時空間情報によるripply発現制御ネットワークの動体を明らかにするためシミュレーションモデルの作成を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたATAC-seqを行わずにripplyの制御機構が明らかにできつつあり、比較的順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに分節時計によるripplyの発現制御機構は概ね明らかにすることができている。またwavefrontによる制御機構に関してはヒト培養細胞を用いた実験から概要は明らかにできつつあるが、実際の個体を用いた検証が不十分である。そこで令和元年度は体節形成過程のゼブラフィッシュ胚におけるERKシグナルによるTbx6のリン酸化の役割についての解析を行うとともに、これらの結果をもとにしたシミュレーションモデルを作成し、その検討を行う。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたATAC-seqを実施することなくFgfシグナルによるripplyの発現制御機構を明らかにすることができたため、予定よりも使用額が減少した。次年度に行う予定であるシミュレーションモデルの検証のために当初予定していなかったripply1及びripply2抗体及びher7-mscarletノックインフィッシュの作成が必要になっており、本年度の未使用額を融通する予定である。
|