2018 Fiscal Year Research-status Report
Characterizing the roles of evolutionarily 'young' genes in development
Project/Area Number |
17K07426
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
工樂 樹洋 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, ユニットリーダー (40391940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全ゲノム情報 / 遺伝子モデル / 爬虫類 / 軟骨魚類 / 系統特異的遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
インシリコ解析と実験の両面を扱う本課題については、2年目も順調に進めることができており、1年目に引き続いて途中段階での副産物について国際誌への出版(Hara et al., 2018. BMC Biology 16:40; Hara et al., 2018. Nature Ecology & Evolution 2: 1761-1771など)が実現している。これらの内容は、複数の国際会議にて講演し、データ取得法の検討や脊椎動物ゲノム進化のテーマに沿って研究者向けに発信してきた。これらの一部(サメの全ゲノム解析)についてはNHKニュースや大手新聞にも科学記事として取り上げられ、一般社会への発信も実現することとなった。 課題の本筋である系統特異的遺伝子(進化上保存されていない「若い遺伝子」)の検出と機能解析については、まず、方法面におけるインシリコ解析の手順と転写・翻訳のエビデンス情報の両面での準備が整った。材料面についても、各生物の遺伝子のカタログ(全ゲノム情報からの推定遺伝子モデル)や一部の種についてのゲノムワイドなエピゲノム情報(ヒストン修飾ChIP-seqデータ)が整った。これらに基づいて、主軸となるインシリコ解析パイプラインを実行することにより、系統特異的遺伝子候補リストを取得することができた。得た遺伝子リストをたたき台として、系統特異的遺伝子の性質のさらなる分析とそれらの機能の解析を進めていく。進捗の具体的な内容については、他の欄に記した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目にとくに方法面の準備が予定通りに進んだため、2年目の前半には、その利用と、材料となる配列情報の整備と強化を行った。これまで分子レベルでの安定した実験系が乏しかった爬虫類と軟骨魚類について、それぞれソメワケササクレヤモリとイヌザメを他の脊椎動物と同様に扱う基盤を整えた。前者については、4月にBMC Biology誌に、後者についてはNature Ecology & Evolution誌に出版した。後半には、同義置換・非同義置換数の比較を加味したインシリコ解析パイプラインと、整備した遺伝子モデルの情報を利用し、系統特異的遺伝子の候補リストを取得する解析を行った。この結果、絞り込み条件の適用の仕方によってばらつきがあるが、数百~数千の候補が得ることができた。マウスとイヌザメについては、選定したヒストン修飾についてChIP-seqデータを取得し、候補遺伝子のエピゲノム制御の情報を加味する準備も整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んできたと考えているが、機能解析に持ち込む生物種と遺伝子数の選定について、3年目の前半に大きな決断を迫られる。これに先立ち、系統特異的遺伝子として、そのエビデンスの信頼性が高いものについては、5個程度選んで、in situ hybridization法による胚での遺伝子発現解析とCRISPR/Cas9を用いた機能欠失実験に着手し、事前にこれらの実験系の技術的な確認を行うとともに、限られた候補についての生物学的な結果の評価の手順を進める予定である。国内外見渡してみて、類似した研究課題が進められている情報や気配はなく、慎重に進めていくことにより、独自性の高い研究成果を発信できると期待される。
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[Journal Article] Shark genomes provide insights into elasmobranch evolution and the origin of vertebrates.2018
Author(s)
Hara Y, Yamaguchi K, Onimaru K, Kadota M, Koyanagi M, Keeley SD, Tatsumi K, Tanaka K, Motone F, Kageyama Y, Nozu R, Adachi N, Nishimura O, Nakagawa R, Tanegashima C, Kiyatake I, Matsumoto R, Murakumo K, Nishida K, Terakita A, Kuratani S, Sato K, Hyodo S, Kuraku S.
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Journal Title
Nature Ecology and Evolution
Volume: 2
Pages: 1761-1771
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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