2019 Fiscal Year Annual Research Report
Characterizing the roles of evolutionarily 'young' genes in development
Project/Area Number |
17K07426
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
工樂 樹洋 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40391940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子創成 / ゲノム進化 / 「若い」遺伝子 / de novo gene / 機能的制約 / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の終わりまでに、探索対象となる遺伝子候補の選定のための、他生物群における配列相同性や近縁種間の同義・非同義置換数に基づく情報解析パイプラインをすでに整えていた。3年目に入り、海外の大規模ゲノムプロジェクトによる配列情報が多数公開されたため、それらの配列の有用性の吟味に予定より多くの時間を費やした。最終的に、当初の予定通り、1億年以内に分岐した種のペアを複数選定したうえで、準備済みの解析パイプラインを実行し、特定の系統にのみ保持される「若い」遺伝子の最終的な候補を同定した。これらの遺伝子の機能解析には着手したものの、一部の生物について試料の収集が必ずしもスムーズに進まなかったため、3年目終了以降も解析を継続する予定である。ここでは、遺伝子配列レベルの特徴についてすでに得られた結果について概要を記す。同定された「若い」遺伝子の候補は、GC含量やコドン使用頻度の偏りなどにおいて一定の傾向を示し、単に特定の系統に属する種だけが保持する遺伝子という性質で括られるだけではなく、発生期における遺伝子発現様式を含め「若い」遺伝子機能の表れともいえる性質を多数保持していた。とくに、その性質が顕著かによって、実際に機能する遺伝子かを推測できる可能性が示されたことが、当初の想定を超える重要な成果である。不足部分のデータ取得を今後行うとともに、結果を統合的に解析し、出版へ進める予定である。並行して、本研究において得たノウハウを、他研究チームが主導する国際共同研究へも活かしつつある。2年目に発表した爬虫類と軟骨魚類のゲノム解析(BMC Biol.誌及びNat. Ecol. Evol.誌に出版)はあくまでも副産物であるが、種間で保存している部分に目が行きがちな比較ゲノム解析の新たな流れを加速させる、本課題の方針について、「若い」遺伝子の解析と一貫した方向性に従い得られた重要な成果であると考える。
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