2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07447
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
庄司 翼 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40343272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ERF転写因子 / ジャスモン酸 / 塩ストレス / グルコアルカロイド / トマト |
Outline of Annual Research Achievements |
トマトのAP2/ERFファミリー転写因子であるJasmonate-responsive ERF3 (JRE3)は、steroidal glycoalkaloid(SGA)生合成のマスター転写因子JRE4に最も近いホモローグである。トマトゲノムにおいてJRE3遺伝子はJRE4やその相同遺伝子であるJRE1, JRE2, JRE5とともに遺伝子クラスターを形成している。これらJRE遺伝子はジャスモン酸処理によって誘導されるとともに、JRE4を除くJRE遺伝子は塩ストレスによっても誘導される。 ジャスモン酸及び塩によって誘導されるJRE3の機能について洞察を得るために、トマト毛状根においてエスタジオール依存的にJRE3を過剰発現させることで誘導される遺伝子群をマイクロアレイ解析によりスクリーニングした。発現量が3倍以上に上昇する遺伝子をリスト化した。この遺伝子リストにはSGA生合成遺伝子が含まれておらず、JRE3はSGA生合成制御には関与しないことが確認されるとともに、遺伝子のGOタームを調べると非常に広範な遺伝子がリストに含まれることが分かった。同定された遺伝子には、マレイン酸の合成と蓄積に関与するマレイン酸合成酵素やトノプラスト局在性のジカルボン酸トランスポーターをコードする遺伝子も含まれた。これら遺伝子のストレス応答性を解析し、JRE3の機能やJRE4がいかに祖先型因子から進化してきたのかなどについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トマトJRE4はグルコアルカロイド制御因子として明確な機能が分かっていた。一方、その相同因子JRE3については同じ遺伝子クラスターに存在することからJRE4と進化的起源が同じであるにも関わらずその機能は不明であった。JRE3の過剰発現時に発現が上昇する遺伝子群をマイクロアレイ解析で検索することで、JRE3の機能について示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたbHLHファミリー転写因子の機能解析についてもマイクロアレイ解析などを通じて制御対象遺伝子群の検索を進める。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、bHLH転写因子の機能を解明するためのマイクロアレイ解析を2018年度に行う予定であったが、材料準備が遅延したことにより実施できなかったため、当該解析を行うための予算が次年度使用額として生じた。次年度使用額は、2019年度中にマイクロアレイ解析を実施するのに使用する計画である。
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