2019 Fiscal Year Annual Research Report
Degradation of mRNA on the membrane of endoplasmic reticulum
Project/Area Number |
17K07450
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小泉 望 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20252835)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 小胞体ストレス応答 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体で合成されるタンパク質のmRNAの多くが、コードするタンパク質のfoldingが阻害されると分解される。このmRNA分解は小胞体膜上のIRE1が持つRNase活性によるものでRIDD(Regulated IRE1-Dependent Decay)と呼ばれる。RIDDは小胞体シャペロンの誘導に代表される小胞体ストレス応答の1つで、小胞体内でのfolding異常タンパク質の生成を防ぎ細胞の恒常性維持に働くと考えられる。しかし、植物のRIDDの個体レベルでの生理機能、切断特異性などの分子機構は殆ど分かっていない。本研究では主として「1)RIDDを欠損した植物のストレスへの応答」、「2)RIDDによるmRNA分解機構」を調べることで、植物の環境ストレスに対応する戦略を新しい観点から分子レベルで明らかとすることを目的とした。1)に関しては2つのアプローチをとった。1つ目は細胞自律的なストレスの影響を調べることとした。すなわち、フォールディング異常なタンパク質を蓄積すると考えられるシロイヌナズナを作成し、IRE1が欠損したときにより重篤な表現型を示すかどうかを調べることでRIDDの影響を評価することとした。具体的にはシグナルペプチドの切断に異常を示す種子貯蔵タンパク質を発現する組換えシロイヌナズナを作った。この植物は正常に成長するものの種子の形態に異常が見られ、発芽に遅延が見られた。IRE1欠損のバックグラウンドでは種子の稔性が大きく低下した。即ちIRE1によるRIDDが内在性タンパク質のフォールディングの恒常性維持に重要な役割をしていると考えられた。2)に関してはRIDDの標的となることを応募者らが明らかにしているGFPの配列中に見られる酵母あるいは動物でRIDDで言われている切断配列を欠損させた場合のシロイヌナズナでのRIDDを調べる。全てを置換するとRIDDは抑制されたが、より詳細な切断配列の同定にはさらに検討する必要があると考えられた。
|