2017 Fiscal Year Research-status Report
花粉特異的フラボノイドの空間的時間的代謝経路とその作用機構の解明
Project/Area Number |
17K07460
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊原 圭子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (20360555)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物 / 二次代謝 / フラボノイド / 配糖化酵素 / 稔性 / 花粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドは、最も研究の進んでいる二次代謝産物の一つであり、配糖化をはじめとする多彩な修飾により、約9000種類とも言われる構造を持つ。フラボノイドの生理的役割として、UV防御やオーキシンの輸送制御、稔性への影響をはじめとした様々な役割が報告されているが、修飾様式を含めた構造とその機能との関係性が明らかにされたものはほとんどない。ペチュニアの花粉では、花粉特異的なフラボノール配糖体(kaempferol/quercetin 3-O-glucosyl(1→2)-galactosdie)が蓄積しており、その欠損により不稔となることが知られている。フラボノイドの修飾様式の多様性の意義の解明を最終目的とし、ペチュニアの花粉特異的フラボノイドに着目し、その代謝経路と作用機構の解明を目指した。 本年度は、ペチュニアの花粉特異的フラボノイド高次配糖化酵素遺伝子の機能同定を行った。ペチュニアのトランスクリプトームデータベースのin silico seaechにより得た候補遺伝子について、葉、花弁、葯におけるフラボノール分析と矛盾のない発現パターンを示したUGT79B31について解析した。組換えタンパク質を用いた生化学実験、シロイヌナズナ変異体を用いたin vivoでの機能相補実験より、UGT79B31が、flavonol 3-O-glycoside: 2"-O-glucosyltransferaseをコードすることを明らかにした。UGT79B31が、細胞質に局在することを明らかにした。また、ペチュニアフラボノイド配糖化酵素遺伝子の変異体を作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペチュニアフラボノイド配糖化酵素遺伝子の機能欠損変異体は、まだ得られていないが、ペチュニアの花粉特異的フラボノイド高次配糖化酵素遺伝子の機能同定を完了し、予定より早く論文として発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フラボノイド配糖化酵素遺伝子機能欠損ペチュニアの作出とその解析を中心に進める。また、花各器官におけるフラボノイド構造の同定と分布様式の解明、花粉特異的フラボノイド生合成制御因子の探索を進める。
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Causes of Carryover |
2017年に国内ではなく海外で発表した為、旅費に相当する当該助成金で賄いきれず、他の予算を使用した為。2018年にも海外学会での発表を予定しているため、当該助成金は翌年度分と合わせてその旅費として使用する。
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