2018 Fiscal Year Research-status Report
花粉特異的フラボノイドの空間的時間的代謝経路とその作用機構の解明
Project/Area Number |
17K07460
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊原 圭子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (20360555)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二次代謝 / フラボノイド / 配糖化酵素 / 稔性 / 花粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドは、主要な二次代謝産物であり、多彩な修飾様式により約9000種類が報告されている。その生理的役割としては、UV防御や植物ホルモン・オーキシンの輸送制御、稔性への関与等様々な役割が報告されているが、修飾様式を含めた構造とその機能との関係性が明らかにされたものは限られている。ペチュニアの花粉には、花粉特異的なフラボノール配糖体が蓄積しており、その欠損により不稔になることが知られている。フラボノイドの修飾様式の多様性の意義の解明を最終目的とし、ペチュニアの花粉特異的フラボノイドに着目し、その代謝経路と作用機構の解明を目指している。 本年度は、昨年度に機能同定したペチュニアの花粉特異的フラボノイドの高次配糖化酵素遺伝子の葯での発現部位の解析を行った。ペチュニアでは、花粉特異的フラボノイド配糖化酵素遺伝子は、フラボノイドが花粉稔性に影響を及ぼさないシロイヌナズナの配糖化酵素遺伝子と発現部位に違いがあることが示唆された。また、昨年度作出したペチュニア花粉特異的フラボノイドの高次配糖化酵素遺伝子の変異体を用いて、交配により遺伝子機能を欠損したホモ変異体の作出を行った。しかしながら、種子が取れずホモ変異体の作出に至っていない。最近、シロイヌナズナで、葯のフラボノイドの蓄積様式に影響を与える転写制御因子が報告され、この情報を基にペチュニアの花粉特異的フラボノイド生合成の制御転写因子の探索を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既にペチュニア花粉特異的フラボノイド高次配糖化酵素遺伝子の機能同定を行い、植物体における機能も証明した。フラボノイドの花粉稔性にかかわる作用機構の解明に向けて、ゲノム編集技術を用いて、ペチュニアの花粉特異的フラボノイドの配糖化にかかわる配糖化酵素遺伝子欠損変異体を作出している。交配による種子形成がうまくいかずホモ変異体を得られておらず、若干計画が遅れ気味ではあるが、おおむね順調である。 ペチュニアの花粉特異的フラボノイド生合成の制御転写因子の探索も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
ペチュニアの花粉特異的フラボノイドの配糖化にかかわる配糖化酵素遺伝子欠損変異体のホモ変異体の作出については、異なる部位を用いたヘテロ変異体の作成を行い、ホモ変異体の作出を目指す。花粉特異的フラボノイド生合成の制御転写因子の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
遺伝子欠損変異体の交配がうまくいかず、ホモ変異体の獲得に至らなかったため、その後の実験に使用する分の経費の繰り越しが生じた。翌年度分の実験に使用する。
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