2017 Fiscal Year Research-status Report
Molecular regulation of actin plate on brown algal cytokinesis
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17K07462
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長里 千香子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (00374710)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 褐藻類 / 細胞質分裂 / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
褐藻類の細胞質分裂装置は、娘核近傍に存在する中心体から伸びる微小管とその交差部位に出現するプレート状アクチン構造からなる。しかしながらプレート状アクチン構造が褐藻類の細胞質分裂の進行にどのような働きを有しているかは不明である。本研究では頂端分裂細胞を有するHalopteris congesta(クロガシラ目)を用いて研究を行った。H. congestaの頂端細胞は10時間程度のサイクルで細胞質分裂を繰り返すこと、細胞質分裂が光学顕微鏡レベルでも観察しやすいという特徴を持っている。 今年度は細胞質分裂装置の主要な構成要素である微小管とアクチンの挙動について捉えるために、蛍光標識プローブによるライブイメージングの取得を行った。蛍光標識プローブとしては、ローダミン標識チューブリン、ローダミン標識アクチン、Lifeact GFPをマイクロインジェクションにより、細胞内に導入することで観察を行った。Lifeactは、出芽酵母に由来する17個のアミノ酸からなるペプチドで、アクチンフィラメントに結合することが可能で、アクチンの重合を妨げないことが知られている。微小管の動態を生細胞で観察したところ、細胞内部から外側に向けて発達する隔膜の周辺に中心体から発達している微小管のプラス端が存在している可能性が示唆された。アクチンに関しては、隔膜発達と同様に細胞内部で出現し、細胞周辺へ拡がっていく様子が観察された。加えて、ミオシンIIの阻害剤であるBDM (2,3-butanedione monoxime)、ゴルジ体からの小胞の形成を阻害するbrefeldinAによる細胞質分裂への影響についてライブイメージングによる観察を行った。さらに今年度はアクチンフィラメントの形成を促進するとともに微小管の配向にも影響するforminのcDNAを単離し、抗体作製のため大腸菌による組換えタンパク質の調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は微小管やアクチンを標識する蛍光プローブを細胞内に導入し、生細胞においてその動態を観察する、また阻害剤による細胞質分裂への影響を観察するというのが一番の課題であった。概ねその目標は達成することができた。また、次年度の研究計画にあるRNAi解析に向けて細胞骨格関連遺伝のcDNA単離を行っていることから概ね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
アクチン結合タンパク質についてポリクローナル抗体を作製する。間接蛍光顕微鏡法、免疫電子顕微鏡法により、これらのタンパク質の細胞質分裂装置への局在を確かめる。微小管およびアクチンに加えてEB1、formin、profilinなどの遺伝子配列からsiRNAのデザインと合成を行う。マイクロインジェクションによりsiRNAを細胞内に導入し、表現型を確かめる。
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた組換えタンパク質の質量分析に関する解析が年度内にできなかったため。
(使用計画)組換えタンパク質の質量分析の解析費に使用する。
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Research Products
(5 results)