2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the establishment and maintenance mechanism of endosymbiosis using the ciliate Paramecium bursaria
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17K07513
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
児玉 有紀 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (80582478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミドリゾウリムシ / クロレラ / 細胞内共生 / 二次共生 / 原生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊毛虫のミドリゾウリムシの細胞質内には約700細胞の緑藻のクロレラが共生している。研究代表者らは繊毛虫のミドリゾウリムシとその共生クロレラ用い て、真核細胞同士の細胞内共生の成立は、次の4つのプロセスからなることを明らかにした。1: クロレラが宿主食胞内でリソソーム消化酵素耐性を示す。2: クロ レラが食胞膜から細胞質中に遊離する。3: クロレラを包む食胞膜が、リソソームが融合しないPV膜に分化する。4: PV膜に包まれたクロレラが宿主細胞表層直下へ 定着する。本研究では、細胞生物学的および分子生物学的な手法を用いて、上記の4つのプロセスの分子機構を解明することを目的としている。さらにラマン分 光法を用いて、PV膜分化に伴う分子構造の変化を明らかにする。本研究の発展は細胞内共生成立に普遍的な現象の分子機構の解明、細胞内共生関係の維持を通し た生態系の維持と環境保全、細胞内共生による真核細胞の進化と多様性のメカニズムの解明等に繋がると期待される。 今年度は以下の結果を得た。 ・ ミドリゾウリムシのミトコンドリアに対するモノクローナル抗体を用いて、共生クロレラの有無によるミトコンドリア数の変化を調べた。その結果、クロレラを除去したミドリゾウリムシと比較して、クロレラを持つミドリゾウリムシのミトコンドリア数は減少していることが明らかになった。 ・ ミドリゾウリムシの酸性フォスファターゼに対するポリクローナル抗体を用いて、クロレラの再共生過程における酸性フォスファターゼの局在性や量的な変化を調べた。 ・共生クロレラの有無による捕食者への影響を調べるために、ゾウリムシの捕食者として肉食性繊毛虫のディレプタスを採集し、培養法の検討を行った。 ・ラマン分光法で観察するために適切な食胞膜とPV膜の観察法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画どおりに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の研究を行う。 ・共生前後のクロレラ細胞において重要な機能が予測されたタンパク質に対するポリクローナル抗体を用いて、共生成立過程での抗原の消長と細胞内局在性を間 接蛍光抗体法、イムノブロット、免疫電子顕微鏡法で調べる。 ・昨年度に引き続き、 ゾウリムシの捕食者の採集、および培養法の検討を行う。 ・食胞膜とPV膜を単離し、両者のラマンスペクトルを測定する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった試薬等を購入しなかったため。今年度に購入予定である。
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