2021 Fiscal Year Research-status Report
A developmental study of flowers and reproductive structures of the basal angiosperm Amborella
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17K07530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (60089604)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アンボレラ / 花 / 雌性配偶体 / 進化 / 被子植物 / 雌雄異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続き、当該研究課題の第一目標であるアンボレラの花が本来両性花であること、なぜ発生初期に円錐状の頂部がカップ状に変化し、内外の雄しべ間で花粉の発生段階が大きく異なるのは、長い送粉期間を確保するための適応形質であることを明らかにするための調査・観察を継続してきた。特に、雄花に形成される13~19本の雄しべのうち、外側の雄しべが花粉を飛ばし始めてから、内側の雄しべが花粉を飛ばし終えるまでの期間を開花期間として、前年度に撮影した画像を元に暫定的にその集計作業を進めた。その結果、2019年12月12~29日に観察した38花の開花期間は平均5.2日、2020年1月6~19日に観察した30花の開花期間は平均7.0日であり、両者を合わせた平均開花期間は5.4日となった。また、雌花の開花期間を推定するのは難しいが、30花について柱頭が開いてから表面が褐色に変化するまでの期間を開花期間として調べた結果15.5日となった。データは十分とは言えないが、アンボレラは雌雄異株としての結実力の不利を、雄花と雌花の開花期間を延ばすことで、繁殖力を確保しているという結論に近づくことができた。 また、第二の目標であるアンボレラの雌性配偶体が9細胞10核、すなわち、その造卵器が4助細胞をもつことを明らかにするための研究を継続した。 令和2年度は当初計画にあった期間をさらに1年延長した期間であったが、コロナ禍の中で外出を控える対応をとる日が多く、研究計画を期待通りには遂行できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究全体のアクシデントとして、アンボレラの雌雄の花の開花期間を調べるために準備した京都大学理学研究科付属植物園で栽培中の株が3株のみを残して全て枯死してしまうことが起きた。それを補うために、東京大学理学系研究科付属植物園で栽培中の雌雄の株を利用することとし、技術職員の竹中桂子さんの助力を得て、観察を続けてきた。雄花 の一つひとつの開花期間を写真画像で示すため、撮影した画像の解析を進めているが、コロナ禍の中での勤務上の制約があり、十分なデータが取れていない。 その一方で、アンボレラの新たな雌雄株を東京大学から移譲してもらったが、雌花の開花を待っているがまだ必要な花のサンプリングに至っていない。 コロナ禍の中で外出を控える対応を余儀なくされたため、樹脂切片作成についても計画を十分に遂行できる状況に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響を受けて研究実施をさらに1年の延長ができ、また4月以降は移動制限もないことから、先ず第一に研究計画にある第一目標であるアンボレラの花が本来両性花をもつ両全性であることが確かめ、また雄花の開花期間もさらにデータを追加して確かめたい。それによって、内外の雄しべ間で花粉の発生段階が大きく異なるのは、長い送粉期間を保持し、繁殖力を確保するための適応形質であることを確かめたうえで、論文にする。 第二の目標であるアンボレラの雌性配偶体が9細胞10核、すなわち、その造卵器が4助細胞をもつことを明らかにするための研究を継続する。そのために、予め保存してある雌花のほか、東京大学から移譲を受けた雌株から採集する雌花を利用し、それらの樹脂切片を作成し、造卵器の発生を追跡する。 また、昨年度もほとんど進まめられなかったアンボレラの姉妹群における花と雌雄生殖器官の形質の研究も進める。特に、単子葉植物ショウブ科に見られる受精様式の観察、バティス科の雌雄配偶体の観察、真生双子葉植物モチノキ目モチノキ科の雌性配偶体の発生の観察を続け、完成したものは論文としてまとめたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により助成金の使用計画が遂行できなかったため、実施計画の再延長がに認められた。そこで、助成金を次年度に資料収集やデータ収集のために旅費、並びに試料作成のための薬品やデータをまとめるための文房具等の消耗品に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)