2017 Fiscal Year Research-status Report
沿岸海域・汽水域における生態学的重要種群であるゴカイ類の分類学的混乱の解決
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17K07538
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塔筋 弘章 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60237047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正典 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (80162478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分子系統 / 隠蔽種 / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
Hediste atoka同胞種群は日本各地において標本収集を行った。Neanthes glandicincta同胞種群に関しては、南九州から南西諸島各地で標本収集を行った。さらに台湾、中国、オーストラリアのサンプルを研究協力者から譲り受けた。Perinereis nuntia同胞種群については南九州から南西諸島各地で標本収集を行った。本同胞種群についても台湾、中国のサンプルを研究協力者から譲り受けた。Namalycastis hawaiiensis同胞種群は奄美大島以南の南西諸島各地および米国ハワイ州オアフ島、マウイ島、ハワイ島において標本収集を行った。 得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソーム、核18Sおよび28Sリボソーム、ヒストンH3遺伝子の塩基配列を決定できた。 Hediste atoka同胞種群については、日本を中心に世界を網羅したHediste属全体について、ミトコンドリアCOI、16Sリボソーム遺伝子の塩基配列を用いた系統解析を終え、国際学会で発表した。これによってHediste atokaに新たな隠蔽種の存在が明らかになった。これらの成果は現在、国際誌に論文を投稿中である。Perinereis nuntia同胞種群は、系統解析を進めており、その成果を国際学会で発表した。またNamalycastis属においても新たな隠蔽種の存在が明らかになった。これに関しても、一部の成果を国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マレーシアを主なフィールドとするNamalycastis hawaiiensis 同胞種群とNeanthes glandicincta同胞種群については、名古屋議定書への対応のための研究許可申請が遅れたため、マレーシアからのサンプルの持ち出しができなかったため研究の進展が少し遅れたが、研究協力者の研究室へ出向き、ある程度の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね当初の計画どおりに進展していく予定である。 ①タイプ産地を含む地域で新たな標本収集を行う。また博物館所蔵のタイプ標本等も借用する。②DNA塩基配列の比較ならびに形態形質に基づく分類学的検討を行い、種の同定法を確立する。③分子系統学的手法によって種間の系統関係を推定し、生殖隔離の有無を判定する。④遺伝子解析に基づく種同定法を開発、各種の地理的分布を明らかにする。⑤各種の分類学的記載と、属の定義の見直しを行う。 今年度はマレーシア、シンガポールでの研究許可申請はすでに申し込みを済ませ、渡航を予定している8月までには許可が下りる見込みである。またタイでの研究許可についてもカウンターパートが見つかり、今後申請を行う予定である。
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Research Products
(5 results)