2017 Fiscal Year Research-status Report
同所的に生息する湖沼性淡水魚の体色の類似化と色覚の関連性に関する研究
Project/Area Number |
17K07543
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
猪股 伸幸 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (20301335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山平 寿智 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (20322589)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 並行進化 / 共進化 / オプシン遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スラウェシの古代湖群のメダカ科、およびサヨリ科魚類を対象に、(A)古代湖群でのメダカ科、およびサヨリ科魚類を網羅的に採集し、(B)次世代シーケンサーを使用したトランスクリプトーム解析による両科魚類タンパクコード領域の網羅的探索を行う。この情報をもとに(C)両科それぞれの系統樹の推定とトポロジーの比較、(D)オプシン遺伝子群の分子進化パターン、およびオプシン遺伝子群の発現量の比較を行う。また、(E)同所的に生息するメダカとサヨリの胃内容物解析による捕食被食関係の検証を行う。これらの情報から、(F)体色の類似化と色覚の関連性、および共進化の可能性について検討する。 平成29年度は、当初の計画通り、(A)古代湖群でのメダカ科、およびサヨリ科魚類を網羅的に採集、(B)次世代シーケンサーを使用したトランスクリプトーム解析による両科魚類タンパクコード領域の網羅的探索「トランスクリプトーム解析によるメダカとサヨリのタンパクコード領域の網羅的探索」を遂行した。具体的には、ポソ湖の黒体色、マリリ湖の黄体色、ムナ湖の青体色の代表的メダカ種・サヨリ種のメスの眼球からtotal RNA抽出を行った。次世代シーケンサー(イルミナ社)を使用して、各個体それぞれについてシーケンスリードを取得するために、次世代シーケンス受託業者にtotal RNA試料を送付(外注)した。イルミナ社の次世代シーケンサー(HiSeq 4000)を使用し、およそ4.8Gbの配列を得た。得した配列データからタンパクコード領域のコンティグの再構築(de novo アッセンブル)を行ない、今後の計画を遂行するのに不可欠な「参照ドラフト配列」を作成した。また、主にスラウェシ島西部の湖沼で、本研究で必要な種の予備的調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーを使用したトランスクリプトーム解析による両科魚類タンパクコード領域の網羅的探索「トランスクリプトーム解析によるメダカとサヨリのタンパクコード領域の網羅的探索」と「参照ドラフト配列」の作成は、実質終了した。項目(A)古代湖群でのメダカ科、およびサヨリ科魚類を網羅的に採集は、当年度の予定には届かなかったものの、現地の事情等を踏まえると想定の範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は予定通り、次世代シーケンサーを利用して配列データ取得を行ない、得られた配列データに基づいて、「参照ドラフト配列」を作成した。したがって、平成30年度は、当初の予定通り、(C)両科それぞれの系統樹の推定とトポロジーの比較、を行う。また、スラウェシ島の湖沼で、本研究で必要な未採集の種の採集を行なう。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンス外注等のキャンペーンによる値引きにより残額が生じた。次世代シーケンスの試薬等に使用する。研究分担者(山平寿智)のインドネシア・カウンターパートによって予備的調査が可能となったことから、旅費を繰り越すことになった。科研費助成金申請時に不測の事態(海外採集に伴う旅費の変動等)に備えた旅費が、交付時には十分に確保できなかったための充当とする。
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