2017 Fiscal Year Research-status Report
集団ゲノミクスによる海洋島環境における浅海性魚類アカハタの集団構造形成史の解明
Project/Area Number |
17K07548
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
栗岩 薫 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (50470026)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武島 弘彦 総合地球環境学研究所, 研究部, 外来研究員 (50573086)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 小笠原 / 火山列島 / 北硫黄島 / 硫黄島 / 南硫黄島 / 西ノ島 / 魚類相 / 生物地理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年6月5日~10日に、火山列島・北硫黄島、硫黄島、南硫黄島において浅海性魚類の採集調査を行った。当該海域における包括的な魚類調査は、北硫黄島では49年ぶり、硫黄島では23年ぶり、南硫黄島では10年ぶりとなる。調査の結果、未記載種2種および日本未記録種5種を含む11目50科246種の魚類を採集した。採集した魚類はすべて国立科学博物館、神奈川県立生命の星・地球博物館、鹿児島大学総合研究博物館に標本として登録するとともに、DNA解析用の筋組織を確保した。 採集した魚類標本のうち、日本では3例目で生鮮時の色彩記録のなかった稀種であるハタ科モモハナスズキについて報告をまとめ、論文として出版した(吉田・栗岩・本村, 2018)。未記載種および日本未記録種については現在記載論文をまとめているところである。また、当該海域の魚類相について暫定的にまとめた結果を、日本魚類学会2017年度年会において発表した(栗岩, 2017)。ハタ科アカハタを用いた集団ゲノミクス解析については、予備解析を進めているところであり、研究計画2年目以降に本格的な解析に着手する予定である。 また、西ノ島については、渡航に関する各許可申請中に再噴火したため調査を取りやめ、火山列島から父島に戻る途中に立ち寄って、目視による海況の確認と降り注ぐ火山灰の採取のみにとどめた。採取した火山灰を用いた解析結果をまとめ、論文として出版した(佐野・栗岩・谷, 2018)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に先がけたフィールド調査が大掛かりであったこと、また調査において採集した魚類サンプルの標本処理が非常に大変だったことから、進捗状況は当初の予定に対してやや遅れ気味である。2年目以降は実験・解析のみであるため、その遅れは十分に取り戻せると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画1年目に行った採集調査の結果から、魚類相をまとめた論文、未記載種および日本未記録種の報告論文を出版することを目指す。
調査で採集したアカハタを用いたゲノム解析に着手し、集団ゲノミクス解析を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
フィールド調査および採集した魚類標本の処理などで手一杯となり、ゲノム解析は次年度から行うことと変更した。そのため、ゲノム解析費用500,000円も次年度使用とした。
|