2017 Fiscal Year Research-status Report
Interaction and synchrony of population dynacmis determine the parameters of Taylor's laws
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17K07552
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 隆 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00183814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テイラー則 / 個体群 / 個体群動態 / 自己相関モデル / エゾヤチネズミ |
Outline of Annual Research Achievements |
テイラー則は,個体群密度の分散(v)は平均(m)のべき乗関数(log10[v] = log10[a] + b x log10[m])で表すことができるとする生態学の経験則で,多くの動植物種で観察され,時間的なテイラー則と空間的なテイラー側がある.この経験則はもやは生態学上の古典的な課題といえるが,1.なぜこれほど多くの種で観察されるのか,2.なぜほとんどの観察例で傾き b が1と2の間に入るのか,3.経験則の成立にはどんなメカニズムが働いているのか,については統一的な説明はない.本研究の目的は,時間的なテイラー則に焦点をあて,エゾヤチネズミの豊富な観察データと個体群動態モデルを使い,上の問題に答えることである.個体群の密度依存的な性質に基づく自己相関モデル(2次)がエゾヤチネズミの個体数変動をよく記述することを確かめ,このモデルに持続的に存続可能な個体群が持つはずの係数を網羅的に与え,個体群動態の性質とテイラー則の存否,傾き b などを比較した.その結果,(1)長期間持続的に存続可能な個体群はすべてテイラー則を示すこと,(2)密度に依存しない変動要因の影響を受けにくく,遅れの密度効果が弱い個体群の傾きは,1 < b < 2 の範囲をとりやすいこと,(3)個体群に変動をもたらす動因,つまり分散の決定要因は,対数スケールでは平均値の上下で均等に働くが,自然数スケールでは平均値よりも上の領域でより大きな効果を持ち,分散が大きくなると平均値も大きくなるというテイラー則をもたらす,ことを明らかにした.これらの成果を英語論文にまとめて投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で説明したような成果をあげ,英語論文にまとめて投稿した.研究は,計画通り研究が進捗しているため,上のように自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
時間的なテイラー則については目的をほぼ達成した.今年度は,時間的なテイラー則と空間的なテイラー則の関係を分析し,時間と空間に共通に働く要因とそれぞれに独立に働く要因を特定する.このような分析によって,テイラー則を総合的に理解することが可能になる.
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Research Products
(4 results)