2017 Fiscal Year Research-status Report
繁殖における雄の代替戦術の進化と母性効果の役割について
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17K07556
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 幸恵 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60414629)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行動生態学 / 進化生態学 / 植物ダニ学 / 性選択 / 雄間闘争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、条件戦略としての雄の代替戦術が見つかっているナミハダニを対象に、環境や状況が雄の繁殖戦術と繁殖成功に与える影響を調べるとともに、母親が経験した環境や状況が息子の繁殖戦術に与える影響について明らかにすることを目的としている。初年度であるH29年度は、(1)本研究を遂行するうえで必要な設備・環境の整備、関連情報収集による計画細部のブラッシュアップ、(2)実験①「雄密度が繁殖成功に与える影響について」の遂行、(3)本研究計画の下地となっている研究内容の発信、を計画していた。(1)が達成され、(2)の取組として、様々な雄密度状況下におけるスニーカーとファイターの行動を録画し、解析を行った。当初、雄密度として、リーフアリーナあたり雄1、2、5、10匹を計画していたが、加えて15匹も行うことにしたため、十分な反復数がまだ得られていない。その一方で、もともと計画していなかった、日齢別における雄の戦略と雄密度の関係についての調査を行い、先行研究で示されたスニーキング戦略の最適雄密度に関して、再考の必要性があることを明らかにした。本データは、実験①とH30年度に予定している実験②「母親が経験した雄の密度が息子の繁殖戦術に与える影響について」の結果を解釈するうえで重要となる。(3)の取組としては、市民団体が開催するゼミナール(上田地球を楽しむ会)や、チェコ共和国の国立生物学研究センター(Biology Centre CAS)でのセミナーにて、本研究に関する情報を発信した。また、国際会議(2017 Congress of the European Society for Evolutionary Biology)にてポスター発表を行い、海外の研究者と有意義な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記、研究実績の概要にあるとおり、計画の(1)と(3)は予定通り達成された。しかし、計画(2)については、雄密度としてリーフアリーナあたり雄1、2、5、10匹を計画していたが、計画のブラッシュアップにより、加えて15匹も行うことにしたため、予定していた以上に時間がかかっている。一方で、計画にはなかった日齢別における雄の戦略と雄密度の関係についての調査を行い、今後の研究発展につながる成果をえている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、研究実績の概要にあるとおり、引き続き、実験①「雄密度が繁殖成功に与える影響について」を遂行する。また、H30年度の計画通り、実験②「母親が経験した雄の密度が息子の繁殖戦術に与える影響について」を遂行する。
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Research Products
(7 results)