2019 Fiscal Year Annual Research Report
Toward the demonstration of adaptive evolution of defense traits against fungivores in the insecticidal mushroom Strobilurus ohshimae
Project/Area Number |
17K07560
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中森 泰三 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50443081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | きのこ / 殺虫力 / 菌食動物 / 地理分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギエダタケと菌食性トビムシの相互作用の地理的な違いを明らかにするために野外調査を行った。2019年は新たに鳥取と岐阜のスギ自生地で調査した。また、青森での再調査を行った。これまでの調査結果と合わせて、合計18地点で相互作用に関するサンプルを得ることができた。その結果、地域によってスギエダタケを摂食する種の有無や組成、食べ方が異なることが明らかになった。秋田ではCeratophysella sp. 1がスギエダタケのひだを摂食し、Ceratophysella sp. 2 が傘と柄の内部の組織を摂食していた。山梨、岐阜、福井、京都、和歌山、鳥取、隠岐の島、島根、高知ではオオオニムラサキトビムシ(Ceratophysella pilosa)が子実体内部の組織を摂食していた。青森と宮城、屋久島ではスギエダタケを選好的に利用するトビムシ種はみられなかった。また、同じトビムシ種でも地域によりスギエダタケに対する選好性や摂食様式に違いがあることが明らかになった。例えば、Ceratophysella sp. 3 は静岡と和歌山ではスギエダタケを選好し、高知では選好しなかった。また、オオオニムラサキトビムシは隠岐の島と島根ではひだの表面を摂食する傾向があったが、それ以外の地域では傘の内部を摂食する傾向があった。これらの結果から、地域によりスギエダタケ集団間で異なる摂食圧が作用していると考えられる。しかしながら、18地点のスギエダタケ集団間で、現在調べた範囲では形態(胞子と殺虫細胞の形)およびDNA型(rRNAのITS領域のDNA塩基配列)に違いはみられなかった。スギエダタケの集団構造や形態形質をより詳細に解析することが今後の課題としてあげられた。 また、本研究の過程で、未記載のトビムシが数種みつかり、そのうち1種を新種として記載した。また、日本初記録となるトビムシ種を報告した。
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Research Products
(4 results)