2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07563
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
瀧井 暁子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (00792607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 俊昭 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (30409255)
泉山 茂之 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (60432176)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ツキノワグマ / GPS首輪 / 行動追跡 / 血縁度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、継続的にツキノワグマの行動追跡調査を実施している長野県上伊那地域においてツキノワグマの血縁が社会行動に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。平成29~30年度はGPSテレメトリーによる個体追跡の実施およびDNA多型による血縁関係の推定を行った。 平成30年度は、10頭(オス6頭、メス4頭)のツキノワグマの個体追跡を行った(4頭は平成29年度からの継続個体)。メス4頭は行動圏が大きく重複した。また、調査地域における未標識個体を確認するため、6~11月にかけて14ヶ所に自動撮影カメラを設置した。その結果、未標識個体を少なくとも6頭確認した。ツキノワグマの個体同士の社会行動を明らかにするため、個体同士の近接行動について解析を行った。GPS首輪を装着した個体同士の同一時刻における直線距離が50m以下の場合、個体同士が近接していたと定義し、本研究の開始以前の2012年からの近接行動の解析を行った。平成30年度追跡個体分については、解析途中であるが、2012~2017年におけるのべ81頭(メス30頭、オス51頭)、メス同士37ペア、オス同士110ペア、オス-メス138ペアの組合せについて近接行動を解析した。合計610回の近接を確認し、このうち繁殖に関連すると考えられるオス-メスの近接を最も多く確認した(307回)。近接時間は、2時間未満の一時的な近接が全体の68%を占めた。2時間以上の持続的な近接はオス-メスの組合せで最も多く(38%)確認され、平均近接時間は8月中旬以降急減した。また、6~8月に特定のオスがメスを長時間独占する交尾期に特徴的な行動とみられる100時間以上持続した近接行動を確認した。一方、血縁解析については、調査地域とその周辺地域を含む約280サンプルについて血縁度の算出を終了しているが、結果についてさらに検討し、家系図の作成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPS首輪を装着したツキノワグマの頭数は、他予算で購入したGPS首輪を用いて平成30年度計画よりも多かった。追跡個体の死亡(狩猟・自然死亡)を確認したが、首輪の故障は1頭程度であり、大部分の追跡個体からおおむね順調に位置データ取得を行っている。データ解析に時間を要しており、平成30年度の個体追跡データの解析を現在行っている。血縁解析は、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2018年度までの追跡個体の個体同士の近接関係(近接回数・近接時間)を取りまとめるとともに、近接個体同士の血縁度からツキノワグマの近接関係と血縁度の関係について検討を行う。具体的には1)繁殖に関わる異性間の近接個体の血縁度は低いのか、2)定着性が強いと考えられるメス同士の近接個体の血縁度は高いのか、3)オス同士の近接個体の血縁度は低いのか,について明らかにする。これまでの調査結果から、100時間を超える持続的な近接行動では個体同士がある限定された地域に滞在する事例を確認したが、このような場所はツキノワグマの繁殖にとって重要な場所であると推測される。そのため、長時間の持続的近接行動を確認した場所の地理的な特徴とともに人為的環境との関係についてGIS解析を用いて検討し,繁殖場所の特徴を明らかにする。さらに、専門家とともに統計モデリング手法を用いて近接行動を評価することを検討している。得られた知見を取りまとめて学術誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)