2018 Fiscal Year Research-status Report
人為的環境撹乱および自然災害に伴う底生動物群集の変化の長期的定点観測
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17K07564
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 慎一 静岡大学, 理学部, 教授 (70332525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 底生動物 / 長期的定点観測 / 干潟・浅海域 / 大規模干拓 / 東日本大震災 / イベント前データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、諫早湾干拓や韓国セマングム干拓などにおける採泥調査や、宮城県での干潟生物調査を継続させることで、大規模干拓や外来種侵入などによる人為的撹乱や、地震や津波などの自然災害に伴う環境と生物の変化過程をとらえ、急激な環境変動に対する生物の応答の普遍性を明らかにする。さらに、今後生じるであろう様々な環境変化に備えて、静岡県周辺の干潟・浅海域において現時点でのイベント前の通常状態における環境・生物の定点観測を行い、将来の環境問題(外来種や沿岸開発、南海トラフ地震後の復旧計画など)に対して同一の精度でイベント前後の変化を比較できる定量的データを提供することを目的としている。 本年度は、2018年6月に諫早湾潮止め22年目の有明海奥部50定点および干拓調整池内16定点の採泥調査を継続的に実施した。また、同年7月には東日本大震災から8年目の宮城県東名海岸における底生動物の定量調査を実施し、同一地点・同一方法による震災前10年間と震災後8年間のデータと比較することで、底生動物群集の回復傾向を明らかにした。さらに同点8月には、韓国セマングム干拓においても過去17年間と同様の継続調査を行ない、干拓堤防建設前後の底生動物相の推移を明らかにして、諫早湾干拓のデータと比較した。 この他、本研究では2018年4月から2019年3月にかけて毎月1回、静岡県西部の浜名湖奥部6地点において潮下帯での環境・生物の定点観測を行い、アサリ稚貝の季節的な発生調査と採泥試料中の底生動物の種構成の季節変化を明らかにすることで、イベント前の通常状態における環境・生物の定量的データを収集した。また、静岡県内の勝間田川・菊川・太田川・狩野川・西浦河内川・河津川・大賀茂・青野川などの河口干潟においても、底生動物の採集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた有明海・韓国セマングム干拓・宮城県東名海岸・浜名湖奥部における継続調査を実施することが出来た。 また、静岡県周辺では、勝間田川・菊川・太田川・狩野川・西浦河内川・河津川・大賀茂・青野川などの河口干潟において、底生動物調査を実施することが出来た。 これらの試料のソーティング作業も順調に進んでおり、過去と同一の方法・精度でのデータと比較が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、有明海・韓国セマングム干拓・宮城県東名海岸・浜名湖・静岡県内河口干潟における採泥調査を今年度と同一の方法・精度で実施することで、大規模干拓や外来種侵入などによる人為的撹乱や、地震や津波などの自然災害に伴う環境と生物の変化過程をとらえ、急激な環境変動に対する生物の応答の普遍性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究は昨年度から開始したが、本研究を申請後に昨年度が最終年度であった別の科研費事業の延長が認められた経緯がある。そのため、昨年度に実施した有明海採泥調査および韓国セマングム調査への本事業からの支出が不要となったことで、残された助成金を今年度以降の継続調査で使用する予定であると昨年度の報告書で記載した。そして、今年度は当初からの当該年度に支払請求をした金額については計画通りに使用したが、上記の経緯により昨年度に未使用だった金額はそのまま残されたため、それらが次年度以降の使用額となった。これらの助成金は、引き続き次年度以降の継続調査で使用する予定である。
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Research Products
(6 results)