2018 Fiscal Year Research-status Report
Genetics of convergent evolution in relative species
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17K07571
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
三村 真紀子 玉川大学, 農学部, 准教授 (60451689)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 種間交雑 / 収斂進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)交雑の背景を検討するためにキイチゴ属Ideaobatus亜属の自家不和合性および交雑性の検証と、2)対象種の系統解析およびゲノム解析準備を行った。袋掛け実験によると日本に自生する多くのキイチゴ属は自家不和合性を示したが、エビガライチゴ、バライチゴ、クロイチゴは自家和合性を示した。種間交配実験においては、Ideaobatus亜属内において遠縁関係にあるほど交配親和性は下がる傾向にあったが、系統樹上でやや遠縁関係にあっても結実した。Ideaobatus亜属の系統関係については、地域性を考慮し、サンプルを追加して系統樹を作成したところ、亜熱帯性を示すリュウキュウイチゴにもっとも近縁なのは、温帯性に分布するモミジイチゴと暖かい温帯に分布するハチジョウイチゴであり、モミジイチゴとハチジョウイチゴは形態的な違いが明白なものの、遺伝的には非常に近縁であることがわかった。また同じく亜熱帯性を示すオオバライチゴにもっとも近縁なのは温帯に分布するヒメバライチゴ、バライチゴ、クサイチゴであった。また、亜熱帯と温帯に広く分布するナワシロイチゴは、リュウキュウイチゴやオオバライチゴとは異なる系統的グループに属することがわかった。このグループには、比較的冷温な温帯に分布する種が多く属した。各種の気候的ニッチとその系統関係を明らかにするため、GBIFデータベースに登録された標本採集地の平均気温と平均降雨量を各種のニッチの平均値とし、種文化に伴うニッチの進化を祖先的state解析から推定した。結果、異なる系統に暖かく降雨量の多い気候帯への進出を伴う種分化が示唆された。この系統関係をもとに、ゲノム解析を行うサンプルの準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関移動に関わる予算管理のため、NGS解析委託のサンプル発送を次年度に持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、亜熱帯性キイチゴと姉妹関係にある温帯性のキイチゴ種のゲノム比較解析を行い、系統樹内で複数回起こった亜熱帯性地方への進出と種分化にかかわった背景をゲノム解析から明らかにする。
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Causes of Carryover |
所属機関移動のため、ゲノム解析(NGS解析)の受託依頼を行う予定であったが、データ納品に時間がかかり、発注から納品までに年度を変わることが懸念された。そのため、委託料を次年度に持ち越し、改めて新所属から委託することにしたため。
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Research Products
(1 results)