2019 Fiscal Year Annual Research Report
Heat responses of wetland plant roots in relation to oxygen restriction
| Project/Area Number |
17K07572
|
|---|
| Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
|---|
Principal Investigator |
中村 隆俊 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (80408658)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 呼吸 / 湿生植物 / 根 / 高温 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
20℃および35℃で生育させた北方系2種（ヤラメスゲ・オオカサスゲ）と南方系2種（ヨシ・マコモ）を用いて、根の総タンパク濃度およびプロテアーゼ活性の測定を行った。また、これまでに得られたデータのとりまとめとして、シアン耐性呼吸分を差し引いた呼吸速度に対して通気組織内酸素濃度を反映させた正味の呼吸速度を算出し、根の成長速度や窒素吸収速度との対応関係を温度・種間で比較した。その主な結果について以下に示す。
１）根の総タンパク濃度およびプロテアーゼ活性に関する結果：根の総タンパク濃度は、20℃で各種ともに0.9mg/gFW 程度の値を示し種間差は認められなかった。しかし、35℃では北方系2種の値が約3倍に上昇したのに対し、南方系2種はほとんど値が変化せず北方種と南方種の間に明瞭な差が認められた。根の維持呼吸と密接に関連すると予想されたプロテアーゼ活性については、20℃でヨシにおいてやや低い傾向が認められたが、35℃では種間差が認められず、各種における温度条件間の有意な活性変化についても認められなかった。
２）栽培条件下でのエネルギー産生量の指標となる正味の呼吸速度は、20℃で各種ともに約1.0umol O2/gDWmin程度の値を示し種間差は認められなかった。しかし、35℃では、北方系2種の呼吸速度が低下し（約0.6umol O2/gDWmin）、一方で南方系2種の値は大きく上昇した（約1.9 umol O2/gDWmin）。呼吸速度あたりの根成長速度および窒素吸収速度は、20℃での種間差は認められなかったが、35℃において北方系2種では上昇し、南方系2種では低下する傾向が認められた。このことから、温度上昇に対して北方種では正味の呼吸量における根維持のための呼吸割合が減少し（根成長・窒素吸収のための呼吸割合が増加）、南方種では増加することが示唆された。
|
