2019 Fiscal Year Annual Research Report
Field studies and phylogenomic approaches in the land snails' adaptation to predators
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17K07573
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小沼 順二 東邦大学, 理学部, 講師 (10613838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 陸貝 / 体色 / 分断選択 / 標識再捕獲法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)新島集団の野外調査 新島島内のシモダマイマイを標識再捕獲法を用いた調査の結果、中間色個体の生存率が黒体色個体と白色体個体の生存率に比べ、有意に低いことがわかった。二次元多項式モデルを用いた生存率推定結果では、殻色の二次項の係数が統計的に有意に正の値をもつと推定された。この結果は、殻の色に対して分断選択が生じていることを示唆している。これまで様々な生物種において選択勾配が調べられてきたが、本研究で推定された分断選択の勾配値は、先行研究の分断選択の勾配値より著しく高く、シモダマイマイの殻の色には、高い自然選択が生じていることが示唆された。また、黒体色個体、白体色個体、中間色個体、それぞれの個体群動態は、季節的に変動していることがわかった。いずれの体色個体も、夏と冬に個体数が著しく減少し、春と秋に個体数は増加しており、それらの個体群変動パターンは同調していた。この結果は、体色の違いが、季節多型ではないことを示唆した。以上の結果は、Biological Journal of the Linnean Societyにおいて発表された。
(2)本土集団の野外調査 関東地方で行った野外採集において、多数のミスジマイマイの採集に成功する一方、同属ヒダリマキマイマイの白子個体(アルビノ)の採集に成功した。陸貝のアルビノは珍しく、顕微鏡下にて皮膚組織を詳細に調べた結果、軟体部が白皮症を示す一方で、頭瘤のみが黄色を帯びていることがわかった。軟体部の体色は、殻色の濃淡に影響を与えることも知られており、白子個体は、白い樹皮をもつ樹木に隠蔽する上で適応的である可能性が考えられ、マイマイ属の体色多様化を考える上で重要と考えられた。以上の結果は、American Malacological Bulletinにおいて出版が準備されている。
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Research Products
(4 results)