2018 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が骨代謝の生理的多型性に及ぼす影響
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17K07593
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安部 恵代 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (90372771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 和彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30423635)
西村 貴孝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80713148)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨量 / VEGF遺伝子多型 / 踵骨超音波法 |
Outline of Annual Research Achievements |
長崎県五島市における既存の多施設多目的コホート研究のうち、2017年度の参加者1722名(男性611名、女性1111名)で、血清及びDNA採取を行った。うち1124名(男性373名、女性744名)について骨吸収マーカーであるTRACP-5bおよび骨形成マーカーである骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)及び、踵骨超音波法による骨量測定(BUA、SOS、Stiffness index)が完了している。全対象者について、VEGF遺伝子の-583C/T多型(rs3025020)を検討したところ、男性611名のうち、CCは345名(56.5%)、CTは214名(35.0%)、TTは52名(8.5%)であり、女性1111名のうち、CCは564名(50.8%)、CTは442名(39.8%)、TTは105名(9.5%)であった。骨量測定が行われた1124名において、男女別にCC群とCT/TT群の二群に分けて比較したところ、女性で、CT/TT群はCC群に比べ、年齢が若い傾向があり(p=0.97)身長が有意に高く(p=0.027)、体重が有意に重く(p=0.007)、BUAが高い傾向があった(p=0.067)。男性において、CT/TT群はCC群に比べ、BUAが高い傾向があった(p=0.075)。男女とも骨代謝マーカーに差は見られなかった。年齢で調整した重回帰分析の結果、女性において-583C/T多型はBUAと有意な関連は見られなかったが、男性において、583C/T多型でTアレルを有すると、BUAが低い傾向がみられた(p=0.067)男女とも、583C/T多型とSOS、Stiffness indexとの関連は見られなかった。超音波法によるBUAは骨質をより反映すると言われており、本遺伝子多型は、骨密度よりも、骨質に影響している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VEGF遺伝子多型の検討がすすみ、骨量との関連も見出された点は順調と考えられる。一方、血清VEGF濃度の測定が完了していない点はやや遅れているといえるが、現在進めているところであり、期間内に、問題なく研究を終了することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
血清VEGF濃度の測定を完了し、他の生活習慣に関する情報、生化学的検査の結果などを総合的に加味して、血清VEGF濃度、VEGF遺伝子多型の骨量、骨質への影響を解明する。
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Causes of Carryover |
当初計画の2年目までで終了予定であった、血清VEGF測定が進行中であり、次年度使用額が生じた。今年度、進行中のVEGF濃度測定に必要な測定キット、試薬等の購入に充てる予定である。
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