2017 Fiscal Year Research-status Report
Soybean FLOWERING LOCUS T orthologs in the control of post-flowering growth phase transition and seed development
Project/Area Number |
17K07598
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 純 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00192998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 開花 / 茎頂 / 相転換 / 種子発育 / FLOWERING LOCUS T / 花粉発芽 |
Outline of Annual Research Achievements |
フロリゲンとして機能するFLOWERING LOCUS T(FT)遺伝子は、開花の誘導のみならず、環境シグナルに応答する様々な生理的反応や形態形成に関与する。開花様式ならびに開花後の伸育性や種子形成(登熟)様式は、作物の適応性や収量性を規定する重要な特性である。本課題では、ダイズの主要な二つのFT遺伝子の開花後の茎頂の伸育性や受精後初期の種子発育に関わる機能を明らかにすることを目的とする。
ダイズの無限伸育個体を一定期間短日で栽培しその後長日条件下で栽培すると、FTの発現は抑制されているにもかかわらず、開花が誘導され、開花を継続しながら主茎の伸長を続ける。FT2aおよびFT5aの過剰発現個体について、長日条件下での開花と主茎の伸長を観察したところ、特にFT5aの過剰発現個体では、第二節から開花が始まり、第四節で頂生花を形成し、主茎の伸長を止めた。初生葉展開期である出芽後8日目の茎頂における伸育性遺伝子Dt1(TERMINAL FLOWER1b)とDt2ならびに花芽分裂組織決定遺伝子APETARA1(AP1)オーソログの発現様式を解析した結果、FT5a過剰発現個体ではAP1オーソログの発現が著しく上昇し、一方でDt1の発現が強く抑制されていた。
長日条件では、開花した花の莢への発育が強く抑制される。しかし、FT2aやFT5aの過剰発現個体では、長日条件下においても開花した花は莢へと発育する。長日で開花した花の柱頭における花粉発芽を観察したところ、野生型個体では、花粉の発芽が観察されず、開花後の花器の発育停止は花粉の未発芽による未受精に原因すると考えられた。人工培地上では花粉は正常に発芽したことから、花粉の未発芽の要因は柱頭側にあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の執行前に比べ、ダイズの長日下における莢形成阻害が、柱頭上における花粉の未発芽による未受精に原因することが明らかになったことから。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイズFTオーソログの過剰発現個体の解析から、ダイズに開花誘導にとって重要なFT2aおよびFT5aの多面的な機能の一端が明らかになった。ダイズでは、FT2aの発現が著しく低下した変異遺伝子が存在する。その変異遺伝子に関する準同質遺伝子系統を用いてFT2aの莢形成に及ぼす作用を比較・検討する。また、FT発現に影響を与える環境要因として、低温に着目し、FT発現に及ぼす低温の影響を明らかにする。
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