2017 Fiscal Year Research-status Report
シンクロトロン光と次世代シークエンサーを用いた効率的な欠失突然変異体単離系の開発
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17K07605
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
穴井 豊昭 佐賀大学, 農学部, 教授 (70261774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 啓史 佐賀大学, 農学部, 講師 (40425541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 突然変異 / X-線 / ダイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、①次世代シークエンサーを用いたアンプリコンシークエンスによる変異集団中の欠失変異配列の検出法の確立に取り組んだが、当初は、以前作成したダイズX-線照射集団の約2万系統から得たDNAをプールし、それぞれのプールを鋳型として標的遺伝子領域をPCRによって増幅し、これを次世代シークエンサーを用いて解析する予定であったが、保存されていたDNAを用いて予備的に3個の遺伝子を標的としたTILLING法による変異の検出を行った結果、今回用いたX-線照射集団では当初の予想より変異頻度が低く、アンプリコンシークエンスを用いた変異頻度の評価は難しいことが明らかになった。そのため予定を変更し、この集団に含まれる5個体の突然変異個体のゲノミックDNAを混合して全ゲノムシークエンスを行い、ゲノム全体についての変異頻度を算出することに計画を変更し、突然変異個体を栽培し再度DNAの抽出を行った。その後、これらのDNAを混合して、次世代シークエンサー用のライブラリー調整を行ない、次世代シークエンサーによる解析を進めている。 ②変異体集団中からの目的とする欠失変異個体の迅速検索法の確立を進めるため、次世代シークエンスを用いた一次スクリーニングの後の二次スクリーニングに利用する手法についても検討を行った。これについては、当初想定していたCAPs法およびdCAPs法による変異個体の検出には12個体程度まで混合したサンプルからの検出が可能であることが明らかになった。また、これらの方法とは別にTILLING法に使う酵素であるCEL1より高感度で欠失変異を検出できるとされているT7エンドヌクレアーゼを用いた変異箇所の検出法についての検討も進めている。 ③小規模な欠失変異の導入効率を高めたX-線照射条件の最適化を進めるために、シンクロトロン光施設でのダイズ乾燥種子に対しX-線照射を行い、変異集団の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験の結果、以前に作成していたX-線処理突然変異集団の変異頻度が予想より低かったため、当初計画していたアンプリコンシークエンスを用いた変異効率の評価では十分な成果が得られない可能性が出てきた。そこで、当初の方針を変更し、全ゲノムシークエンスによる変異効率の評価を行うこととし、新たなサンプルの調整を行った。このため、研究計画の一部が遅延しているが、この点については補完的な手法を用いることで2年次以降で十分挽回が可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体計画のうち、突然変異効率の評価についての部分をアンプリコンシークエンスの利用から全ゲノムシークエンスの利用に変更する。これに伴い、サンプルの調整法等に若干の変更が生じるが、他の部分に関しては計画通り研究を進めることとしており、今後の研究の推進方策について大幅な変更はない。
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Causes of Carryover |
実験方法の変更に伴い、次世代シークエンサーを用いた解析がH29年度中に終了せず、H30年度に持ち越しとなったため、当該研究経費分の執行がH30年度となるため。
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