2019 Fiscal Year Research-status Report
シンクロトロン光と次世代シークエンサーを用いた効率的な欠失突然変異体単離系の開発
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17K07605
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
穴井 豊昭 佐賀大学, 農学部, 教授 (70261774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 啓史 佐賀大学, 農学部, 講師 (40425541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイズ / シンクロトロン光 / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに作成したシンクロトロン光処理ダイズ(100Gy照射群、200Gy照射群、100Gy+アルミニウムフィルター照射群および100Gy+銅フィルター照射群)のM3個体について、これらの処理がゲノム中にどの程度の欠失変異(InDel)を生じるのか評価を試みた。昨年度の予備実験の結果より、次世代シークエンサーを用いたゲノム塩基配列解析の際に約20倍深度のシークエンスデータでは、変異箇所の特定が困難であったことから、100倍深度にまでデータ量を増やし、それぞれの処理区で2個体づつ反復してデータの採取を行った。その後、それぞれの個体に特異的なInDelのみを抽出したところ、100Gy処理区では平均5,002箇所/個体、200Gy処理区では平均4,626箇所/個体、100Gy+アルミニウムフィルター処理区では平均5,328箇所/個体、100Gy+銅フィルター処理区では平均4,815箇所/個体の変異が見出された。しかしながら、各処理区の間に極端な違いは認められず、この条件の範囲であれば、照射方法や線量の違いはInDelの数に大きな影響を与えていないことが示唆された。さらに、この変異頻度は、以前に我々がEMS処理によって作成したダイズ(品種:エンレイ)の解析で明らかにした塩基置換変異の頻度と比較すると40%以下であった。しかしながら、今回検出されたInDelのうちどの程度のものが真の変異であるかを確認するためには、個別の変異部位について検出用のプライマーを用いた検証が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想に反して、照射方法や線量を変化させた際に検出されるInDel変異の数がほとんど変化しておらず、また、変異の数自体も予想より多数検出されていることから、これらの変異について個別に検証を行う実験を追加する必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに次世代シークエンスにより検出されたInDel変異の一部について、個別にPCR用のプライマーセットを設計し、これらの変異の真偽を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究の結果、追加で新たに解析すべき点が明らかになり、次年度にこの実験を追加して行う必要が生じたため。次年度中にPCR法によって、個々の変異箇所を追加で調査し、真偽の評価を行う。
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