2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07616
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
黒田 洋輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長 (40595071)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低温要求性 / 日長反応性 / 二年生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、二年生植物の開花のタイミングが「質的かつ量的な低温要求性に依存する」ことに着目し、テンサイで発見されたユニークな低温要求性の変異系統 を用い、全ゲノム情報を活用した解析を通じて、二年生植物の開花を自在に操ることを目的としており、以下の2つの小課題を実施した。 1.屋外栽培での開花の誘導を決定づける量的低温要求性に関与する塩基多型の探索: 令和元年度は、2ヶ年・2集団のQTL解析で検出された抽苔抑制効果の最も強いQTL(BvBTC1座)に着目して、育種選抜による抽苔耐性の改善の効果を検証した。具体的には、BvBTC1座に設計した分子マーカーに着目して3種類の細胞質雄性不稔維持系統(「NK-195BRmm-O」、「NK-280mm-O」及び「NK-310mm-O」)の抽苔耐性の改良を試み、特定の遺伝子型(“aa”遺伝子型)の系統を選抜することで抽苔耐性が簡便に改良できる可能性を明らかにした。 2.超短期間で開花が誘導できるBLONDの特性(質的低温要求性)に関与する塩基多型の探索: 令和元年度は、昨年度に引き続き、抽苔表現型 データを取得した。具体的には、全日長条件下で開花が誘導できるBLOND系統(NK- 420mm-O)と、開花が誘導されない通常の系統(NK-310mm-O)を両親とした雑種第 三世代(F3)系統群を用い、既に開花が誘導されることが明らかな検定条件(全日長条件のガラス温室)で栽培して、各系統の開花(抽苔)率を測定し、表現型の分離データを得た。 過去の2年間に取得した表現型情報は、春から夏にかけての検定であったが、本年は、冬から春にかけて調査を実施し、概ね過去2年間と同様の結果を得た。加えて、QTL解析を実施して、関与するゲノム領域のラフマッピングを完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、本課題を構成する2種類の小課題である「屋外栽培での開花の誘導を決定づける量的低温要求性に関与する塩基多型の探索」では期間中に見出したQTLの選抜効果を検証することができた。また、「超短期間で開花が 誘導できるBLONDの特性(質的低温要求性)に関与する塩基多型の探索」のための遺伝解析集団より表現型の分離データを新たに取得することができた。加えて、ゲノム領域のラフマッピングを完了した。よって、本研究の目的である二年生植物の開花を自在に操るための分子基盤の構築へ向けて、当初の計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「超短期間で開花が 誘導できるBLONDの特性(質的低温要求性)に関与する塩基多型の探索」に関して、関与ゲノム領域をより詳細に推定するために、QTL-seq法に基づいた解析を実施する。
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Causes of Carryover |
本課題では、申請者らが見出した開花に低温処理を必要としないユニークな特性(BLOND)のテンサイ系統に着目し、早 期開花に関与するゲノム領域の特定を進めている。これまでの分離世代による遺伝解析により、効果の強い遺伝子座(Q TL)を見出した。より精緻な遺伝領域の特定あるいは原因遺伝子の特定を進めるために、追加で次世代シーケンスデー タの解析を行うべく、補助事業期間を1年延長する。次年度は、「超短期間で開花が 誘導できるBLONDの特性(質的低温要求性)に関与する塩基多型の探索」に関して、関与ゲノム領域をより詳細に推定するために、QTL-seq法に基づいた解析を実施中する。
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Research Products
(4 results)