2019 Fiscal Year Annual Research Report
Abscisic Acid and Acceleration of Midstem Elongation in High-Temperature Moisture Treatment-Application and Development for Direct Seeding of Rice-
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17K07619
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邊 肇 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10292351)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 作物学 / 直播栽培 / イネ / ABA / 湿潤高温処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、研究方法(2)により中茎の伸長誘導メカニズムを解明するため、日本型水稲のササニシキのHHT処理による中茎伸長誘導メカニズムに関して、植物ホルモンと糖代謝の観点から分析を行った。日本型水稲は一般的に中茎が伸びにくく、直播栽培において出芽・苗立ち不良を引き起こす要因の一つとなっている。ササニシキの分析結果では、HHT処理により中茎は伸長し、それに伴い中茎中のアブシジン酸含有量は増加したが、同時にABA阻害剤であるフルリドンを処理するとABA含有量の増加を伴わず中茎が伸長した。HHT処理により伸長した中茎においてグルコース、フルクトースおよびスクロース含有量が増加した。またHHT処理後3日目に、種籾中のABAおよびオーキシン含有量が増加した。 これらの結果により、HHT処理により種籾でオーキシンなどの他の植物ホルモンが誘導されることで組織分化が誘導されるとともに、種籾中のデンプン分解および糖代謝が誘導され、中茎伸長が起こると考えられた。一方で、ABAはHHT処理により誘導されるが、中茎伸長に直接関与していないと結論した。今後、HHT処理による糖代謝の誘導を明らかにするために、HHT処理がデンプン分解に関わるα-アミラーゼ活性に与える影響について検討を進める。 以上により、本研究ではアブシジン酸(ABA)が湿潤高温(HHT)処理に、より高い効果を導くための要因となるとの知見を得られた。本研究全体を通じて、研究代表者の所属が変更になったこと等により、当初予定していた圃場試験に着手するには至らなかったため、これまでに得られた研究成果を元に、圃場試験へと今後展開していきたい。
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