2018 Fiscal Year Research-status Report
温度応答および根粒菌との相互関係から見たダイズ茎葉成長制御メカニズムの解明
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17K07621
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
長菅 輝義 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80515677)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気温 / 地温 / 茎葉 / 土壌水分 / 土耕 / 水耕 / 光合成速度 / 水ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究で作成した気温・地温同時制御システムを使って両者を別々に制御した温度環境下で土耕・礫耕栽培したダイズの成長応答を解析した。前報では気温・地温処理に対する草丈の応答が土耕栽培したダイズと礫耕栽培したダイズで異なることを確認したが、本報では草丈の変化がどの構成要素の変化に因るかを解析した。その結果、両栽培したダイズの草丈の変化が茎長の変化に依存したこと、草丈にみられた気温・地温の効果が、土耕栽培したダイズでは茎長のそれに全て依存したのに対し、礫耕栽培したダイズでは、気温の効果は茎長、地温の効果は葉柄長にそれぞれ分担して依存することが分かった。 2.茎葉が繁茂し易い品種である‘美里在来’の個葉光合成速度の特徴を解析するため、様々な土壌水分条件に短期間晒した際の‘美里在来’と西日本の標準品種の‘フクユタカ’の個葉光合成速度とその関連要因の変化を追跡した。その結果、 3.ダイズの成長特性と栽培上の問題点等を整理し、取りまとめた英文書籍「Soybean Biomass, Yield and Productivity」の3章を担当し、執筆した。申請者がこれまでに行ってきた研究成果も内容に組み込んでおり、本課題の内容の一部も紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まで、各実験結果の整合性がとれないことが問題だった。大きな原因は、ダイズの根に根粒菌を着生させない栽培方法が確立できなかった点にあり、当初設定した水耕栽培では根の張り方が土耕栽培と大きく異なっており、礫耕栽培に変更した。しかし、礫耕栽培すると、今度は逆に根の伸長を強く抑制してしまって成長が安定しなかった。そのため昨年度には、更に砂耕栽培に変更した。その結果、ようやく根粒の少ないダイズを安定的に栽培することに成功した。また、実験システムの再構築も行った。これまでは気温・地温処理を個々のサーモスタットでコントロールしていたため、コードが多量に発生し、トラブルが生じた際の対処が困難だった。そのため、データロガーと調整機を用いて全ての温度処理を一括で実施できるシステムに変更した。その結果、システムの簡略化に成功した。これで実験を量産させる体制がようやく整った。更に、これまで供試してきたフクユタカに加えて、茎葉が繁茂し易い美里在来も供試し始めた。概ね実験計画通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主軸となる実験系が確立でき、予備実験で生じた問題点の解決もなされた。そのため、今年度はメインの実験の反復を取り、最終年度の成果として取りまとめる。また、昨年度に部分的に計画を修正した低地温処理実験についても、昨年度の予備試験で生じた問題点を解消することが出来たため、こちらについても反復実験を行う。これらの結果を照合して、ダイズ茎葉成長における温度応答についての総合解析を行う。反復実験を行うだけの体制を整えることが出来たため、最終年度も実験計画通りに研究を進めることが可能であると考えられる。
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Research Products
(4 results)