2017 Fiscal Year Research-status Report
トウモロコシの耐湿性に寄与するテオシント染色体逆位領域の耐湿性関連遺伝子群の同定
Project/Area Number |
17K07630
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 亘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (70455319)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | トウモロコシ / テオシント / 耐湿性 / 還元ストレス / 遺伝子発現 / 染色体逆位 |
Outline of Annual Research Achievements |
湛水・還元耐性に寄与するテオシント染色体領域を逆位の状態で導入されているトウモロコシ自殖系統IL#18bおよびこれが由来する自殖系統Mi29に対し、還元処理を施した。 処理後、処理区と未処理区の各系統の根からRNAを抽出し、シーケンスライブラリーを作製した。シーケンスライブラリーから次世代シーケンサー(HiSeq)により塩基配列を取得し、各系統につき530万~665万個の塩基配列フラグメントを得た。 フラグメント情報を用いてde novo RNA seq解析を実施した結果、約19万のコンティグが構築され、そのうち約6万8千個がORFと推定された。これらORF配列についてblast検索を行うとともに、リード数から遺伝子発現量を求め、遺伝子オントロジーによるカテゴリー分類を行った。 さらに、系統間および処理区間で発現量に差があると思われる遺伝子を確認した結果、還元ストレス処理により、各系統につき400~500個の遺伝子において発現量に1000倍以上の差があると推定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンシングにより取得した塩基配列情報をもとにde novo RNA seq解析を実施してORF配列を取得することに成功した。また、ORFの推定発現量から還元ストレスに応答する遺伝子の情報を抽出する作業が完了したことから、本年度の研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
湿害応答遺伝子について、他のモデル植物のゲノム配列、EST配列あるいは遺伝子共発現解析に関する公開データベースを照会して耐湿性に関連すると思われる遺伝子をさらに絞り込む。耐湿性とより関連の深い遺伝子について、塩基配列をもとにDNAマーカーを作成し、テオシント由来染色体逆位領域との遺伝的位置関係を解析する。 具体的には、テオシント由来の当該ゲノム領域を持つ自殖系統IL#18b等と交配して得たF1系統を自殖してF2集団を作製し、連鎖解析に用いる。当該領域の染色体上の位置はbin4.07-4.08 とされているので(Mol Breed 29:137-146.)、その周辺にあるSSR マーカー情報をMaizeGDB(http://www.maizegdb.org/ssr.php)より入手し、それらとDNA マーカー化した耐湿性関連遺伝子との連鎖地図上の位置関係を解析し、遺伝的に連鎖する遺伝子を特定する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 手持ちの研究資源を有効に使い、研究費を効率的に使用した結果生じたものであり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。 (使用計画) 本研究課題推進のため、次年度の研究費は、物品費、旅費、謝金(英文校閲)、プライマー合成に使用する。
|