2018 Fiscal Year Research-status Report
トウモロコシの耐湿性に寄与するテオシント染色体逆位領域の耐湿性関連遺伝子群の同定
Project/Area Number |
17K07630
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
アキリ 亘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (70455319)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トウモロコシ / テオシント / 耐湿性 / 還元ストレス / 遺伝子発現 / 染色体逆位 |
Outline of Annual Research Achievements |
湛水・還元耐性に寄与するテオシント染色体領域が逆位の状態で導入されているトウモロコシ自殖系統IL#18bおよびこれが由来する自殖系統Mi29において、還元処理した個体のde novo RNA-seq解析で得た189358遺伝子について、モデル系統B73のリファレンスゲノムへのマッピングを試みた。その結果、テオシントゲノムが導入されている第4染色体全体にわたり、21605個の遺伝子がマッピングされた。また、第4染色体中のテオシントゲノムに相当する領域(bin4.07~bin4.11)に絞った解析では14571個の遺伝子がマッピングされた。 当初、遺伝子配列のマッピング深度は、テオシントゲノムに相当する領域で低くなることが予想されたが、大きな差が認められなかったので、テオシントゲノムとトウモロコシゲノムの境界を特定するため、自殖系統IL#18bのゲノムのショートリード配列をリファレンスゲノムにマッピングした。解析の結果、第4染色体のマッピング深度は他の染色体よりやや低かったものの、本解析でもテオシントゲノムに相当する領域でマッピング深度が低くなる傾向は認められなかった。そこでさらに、リファレンスゲノムに対して5塩基以上の変異(挿入、欠失、置換)を持つ断片の頻度を1メガ塩基毎にまとめてヒストグラムを作成したところ、変異が多く認められる領域が長腕内で検出された。当該領域は当初予想されたbin4.07付近を起点としていることから、テオシントゲノムに相当する領域であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
de novo RNA seq解析で得たORF配列情報とリファレンスゲノムの配列を比較し、変異の有無によってフィルタリングする(変異の多い断片を除く)ことで、トウモロコシに導入されているテオシントゲノムの物理的領域を明らかにすることに成功した。当初の計画では耐湿性と関連の深い遺伝子について、塩基配列をもとにDNAマーカーを作成し、テオシント由来染色体逆位領域との遺伝的位置関係を解析する予定であったが、本成果で得られた目的領域の物理的情報は、本研究の目的「テオシントゲノムがトウモロコシ自殖系統にもたらす耐湿性のメカニズム解明」において、遺伝的情報に代わる重要なものであり、本年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ロングリードの情報が得られる次世代シーケンサーを用いて自殖系統IL#18bのゲノムを解析し、テオシントゲノムに相当する領域の構造解析を行うとともに、同ゲノム領域の塩基配列から湿害応答遺伝子の情報を抽出する。湿害応答遺伝子について、他のモデル植物のゲノム配列、EST配列あるいは遺伝子共発現解析に関する公開データベースを照会し、テオシントゲノムに由来する耐湿性に関連すると思われる遺伝子を推定する。
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Causes of Carryover |
(理由) 手持ちの研究資源を有効に使い、研究費を効率的に使用した結果生じたものであり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。 (使用計画) 本研究課題推進のため、次年度の研究費は、物品費、旅費、謝金(英文校閲)、受託解析サービス等に使用する。
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