2018 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of lodging resistance locus prl5 in rice
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17K07631
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石丸 健 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主席研究員 (80370641)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イネ / 倒伏 / QTL / 糖シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
倒伏はイネ栽培における最も重要な障害であり、農家収入の減少に直結する品質や収量の低下、労働時間の増加を引き起こす。私たちが見出したprl5は植物体を支える支持力を強くし耐倒伏性を2倍に高める。2018年度に、カサラス由来のprl5を有す準同質遺伝子系統(NILprl5)の評価を行い、実用性が高いことを実証した。また、糖シグナルであるトレハロース6リン酸(T6P)合成に関わる遺伝子がprl5の原因遺伝子であり、発現量の差がアレルを決定する要因で有ることを明らかにしている。本年度は、prl5の作用機構を明らかにすることを目的として解析を進めた。まず、prl5の代謝全体に及ぼす影響を明らかにするために糖代謝の基質を網羅的に測定した結果、T6P含量はNILprl5において有意に10%増加していた。一方でグルコース6リン酸やフルクトース6リン酸等の5種類の糖含量は有意に低下していた。これらの結果からNILにおいてprl5が糖代謝全体に影響することが明らかになった。T6Pが、植物の栄養状態や老化に重要な役割を果たすタンパク質リン酸化酵素であるSnRK1を転写レベルで負の制御していることが知られている。SnRK1の発現量を測定した結果、コントロールに比べNILではおよそ50%まで低下し、prl5はT6P増加させ、更にはSnRK1を通じて耐倒伏性を高めると考えられた。また、prl5を高発現した組換え体では、コントロールに比べ粒厚が大きくなる傾向があり、NILで見られた粒形の拡大はprl5の多面的作用によることが示された。加えて、我々が見出した新規の半矮性ローカスSD-5を導入したNILを作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の解析により、prl5の制御機構を明らかにすることができた。更にはNILSD-5を選抜する等、研究は順調に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
prl5は下位葉の老化を遅らせることで、茎に炭水化物を蓄積させ柔軟性を保つことで耐倒伏性を高める。H30年度までの研究によりprl5が、シグナル作用を持つ糖含量を変化させその結果、糖/エネルギー代謝のスイッチである遺伝子を介し老化を遅らせると考えられた。2019年度は、RNA-seqによりprl5のメカニズムの全ぼうを分子レベルで明らかにする。更に見出した新規の半矮性ローカスSD-5に関しても、有用性の評価を行う。また、prl5に関して得られた結果を取りまとめ成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
形態への影響無しに、prl5が単独で耐倒伏性を制御する機構をより詳細に明らかにするために、生育期間を通じて発現遺伝子の網羅的解析(RNA-seq)を行うことを計画している。予算を効率的に使うためには、サンプルをまとめて解析する必要が有り、予算スケジュール上次年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(1 results)