2017 Fiscal Year Research-status Report
イネの温度感受性雄性不稔系統の解析と高温不稔との比較
Project/Area Number |
17K07633
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川岸 万紀子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (50355707)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 花粉形成 / イネ / 雄性不稔 / 環境ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イネの温度感受性雄性不稔変異系統の解析を中心として、花粉形成の分子制御と温度感応システムを明らかにすることを目指す。この変異系統の責任変異を同定し、花粉形成における機能を解析するとともに、この変異系統の制限温度下における雄性不稔と他の要因による雄性不稔との比較解析から、正常な花粉の形成に必須の制御システムを考察する。 これまでの研究から、この温度感受性雄性不稔変異系統の責任変異の候補として、第7染色体のおよそ 150 kbの欠失領域がすでに検出されている。責任変異の候補を絞るために、欠失領域を複数の部分断片に分けて、それぞれの欠失部分がもとの変異系統と同様の表現型をもたらすか否かを調べることとした。本年度は、CRISPR/Cas9システムにおいて、2つのガイドRNAを同時に導入することにより2カ所の両鎖切断の間の領域を欠失させる方法を用いて、候補領域内に部分欠失をもつ変異体の作出を試みた。得られた多数の形質転換個体から、両鎖切断部位の近傍に設計したプライマーを用いたゲノミックPCRによって、目的とする部分欠失をもつ個体をスクリーニングした。その結果、ねらい通りに両鎖切断の間のおよそ 50 kbの領域を欠失した変異個体が複数同定された。それらの個体から種子を得て、後代を育成している。今後、導入された部分欠失をホモにもつ後代個体を選抜し、許容温度と制限温度のそれぞれにおいて花粉形成の状態を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた変異体の作出と選抜が進んでおり、おおむね順調な進展状況であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にしたがって、得られた欠失変異体の後代を用いて、許容温度下および制限温度下での花粉形成を解析する。
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Causes of Carryover |
研究用試薬やプラスティック機器類などをできるだけ共用するなどして節約に努め、消耗品類の購入費を節減できたため。次年度は研究補助員の雇用に係る経費が本年度より多くなることが見込まれるため、主にその経費にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)