2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07636
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小森 貞男 岩手大学, 農学部, 教授 (00333758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リンゴ / 葯培養 / 小胞子培養 / カルス培養 / 形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンゴ品種‘Alkmene’,‘Remo’,‘Rene’,‘千秋’,‘Starking Delicious’ ,‘千秋’由来の倍過半数体‘95P6’の小胞子培養を行った。その結果‘Alkmene’の小胞子培養のみで胚様体の形成に成功したが植物体の再生には至らなかった。これまで報告されていない‘Starking Delicious’の倍過半数体が開花し稔性を有することが判明した。 1細胞由来の再分化系を確立するために‘ふじ’の交配後30日から60日の種子から取り出した珠心細胞を用いて培養を行った。その結果、交配後30日の珠心細胞から胚様体の形成が確認されたがシュート誘導には成功しなかった。成長点に由来するカルスについては、in vitroに導入して6か月目以降のシュートから採取した成長点では再分化が困難なことが判明した。 年間を通じて小胞子培養および珠心培養を行いために、冷蔵庫で保存した苗木を人工気象機内で開花させることを試みた。葯の充実には適切な積算温度を一定の日数で実現する必要があることが判明し、品種ごとに最適温度条件の設定を行った。これによって、年間を通じて小胞子培養実験および珠心細胞培養実験が可能になった。 すでに獲得しているゲノム編集個体の細胞モザイク状態を調査した結果、多数シュートを継代し続けることでモザイク性が解除できることが判明した。このことから、必ずしも1細胞由来のゲノム編集にこだわる必要はなく、胚様体やカルスからの再分化系にゲノム編集操作を施して、モザイク性を解除する手順も有効であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リンゴ品種‘Alkmene’の小胞子から胚様体の作出には成功したが、他品種の小胞子培養には成功していない。1細胞由来の再分化系では、珠心細胞から胚様体を作出することは成功したが植物体の再生には至っていない。成長点由来のカルスからのシュート形成には成功していない。 ゲノム編集個体の細胞モザイク状態は継代方法を工夫することで解除できることが判明した。 以上の結果のようにリンゴの効率的ゲノム編集実現のための基礎的知見はいくつか得られているが、小胞子培養等の培養系の確立が依然として困難なままであり、小胞子培養を中心にさらに培養方法を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
リンゴのゲノム編集を効率的に行うためにはアグロバクテリウム法によらない一過的発現によるゲノム編集を実現する必要がある。ゲノム編集個体のモザイク性解除方法は確立できたため、必ずしも1細胞由来の再分化系にこだわる必要はなくなった。したがって、今後は小胞子培養系だけでなく、成長点や珠心細胞に由来するカルスや胚様体由来の再分化系を確立する必要がある。 小胞子培養や珠心培養を成功させるためには、1年間を通じて開花させる栽培管理システムを構築する必要がある。昨年度から接木等により苗木の育成を行っており、人工気象気を用いた葯培養等に好適な温度条件の検討も行っている。今後は1年間を通じて開花・結実させた花、果実を用いて培養を試みる。
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