Identification of suitable environments for viticulture: use of aroma compound-biosynthesis gene markers and environmental sensing system

2019 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K07639
• Research Institution: University of Yamanashi
• Principal Investigator: 鈴木 俊二 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60372728)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 醸造用ブドウ / 果実品質 / 無線センサーネットワーク / 土壌水分含有量 / ヴェレゾーン / 栄養成長

Outline of Annual Research Achievements

ワインの香りは、色調（外観）、味、余韻などとともにワインを評価する重要なファクターのひとつであり、そのワインの第一印象に強く貢献する。ワインは醸造過程を経ることで個々のブドウ品種が有する特徴的な香り物質を獲得するため、ブドウ果実の品質を決定する‘テロワール’（＝ブドウ栽培地が形成するブドウの特徴）がワインのアマロ形成に大きく影響すると考えられている。例えば、醸造用ブドウの香り物質生合成は栽培環境に影響を受けやすく、同じ栽培地であっても栽培年に応じて醸造されるワイン中の香り物質含有量は大きく変動する。本研究で標的とした栽培環境は、土壌水分含有量である。本研究で確立した、ICTを活用した無線センサーネットワークによる土壌センシング技術により、人為的に土壌水分含有量を20％以上に維持した高土壌水分含有区を作製した。3年間の圃場試験の結果、世界標準品種となる‘カベルネ・ソーヴィニヨン’では土壌水分量が多いとヴェレゾーン期が遅れること、ヴェレゾーン後の果実成熟初期において糖度の蓄積が遅れることを見出した。一方、高土壌水分含有区はヴェレゾーン期の開始を遅らせる以外には栄養成長に盈虚を及ぼさず、また収穫期の果実成分にも影響は認められなかった。
本研究では土壌センサーおよび灌漑システムを無線センサーネットワークでつなぐことで土壌水分含有量をリアルタイムでモニタリングおよび調整することが可能となった。ICT技術を活用した栽培環境モニタリングシステムは園芸学において栽培環境と農作物の栽培特性並びに収量、品質の相関関係を明らかにする上で不可欠な技術になるであろう。