2017 Fiscal Year Research-status Report
未利用遺伝資源を活用した新しい露地栽培型シクラメンの開発
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17K07641
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 教授 (40253257)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シクラメン / 種間雑種 / 複二倍体 / 倍加 / アミプロホスメチル |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,強い耐寒・強健性と多様な葉の変異を示すC. hederifoliumと芳香性・四季咲き性を示すC. purpurascensとの種間交雑を行い,交雑後の胚珠培養および胚珠培養時の倍加処理を試みた.なお,倍加処理には25 μM アミプロホスメチル (APM)を用いて4, 7, 14または21日間の処理を行った. その結果, 21日間処理以外の処理区で雑種個体が得られ, 複二倍体と考えられる個体が作出された処理区も認められた. 次に,強い耐寒・強健性を示すC. coumとC. mirabileの若葉が赤く色づく系統との間で交雑を行い,交雑7, 14, 21または28日後の果実を採取して, MS, 1/2N-MS, 1/4N-MSまたはB5培地を用いて胚珠培養を行った結果, 交雑14日後に果実を採取し, 1/4N-MS培地で培養した場合と交雑28日後に果実を採取してB5培地で培養した場合に小植物体の形成が認められた. また, 露地栽培に問題ない耐寒・強健性を示し,キキョウのような特徴ある開花形態を示すC. alpinumとC. mirabileとの交雑7, 14, 21および28日後に果実を採取して胚珠培養を行った結果, 交雑21日後に採取した外植体でのみ小植物体が形成された. さらに,園芸品種以外では認められないペオニジン配糖体を主要花色素とするC. persicum ‘ラルゴ’とC. hederifoliumとの種間交雑を行うとともに, 種間交雑後にAPMによる倍加処理を伴う胚珠培養を行い, 種間雑種およびその複二倍体の作出を試みた. その結果, いずれの交雑組み合わせにおいても小植物体の形成が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,A) 未利用遺伝資源を用いた種間交雑と染色体操作による遺伝資源開発,およびB) 異なるゲノムを有する種間雑種における種特異的な形質・特性の発現様式の把握という2つの課題について検討・解明し,シクラメンの未利用遺伝資源を活用した新しい露地栽培型シクラメン(いわゆるガーデンシクラメン)の育種素材開発に寄与することである.本年度はこのうちA)に関する実験を行った.その結果,C. hederifoliumとC. purpurascensとの複二倍体と期待される個体,C. coumまたはC. alpinumとC. mirabileとの種間雑種と期待される個体を作出することができた.また,園芸品種特有の形質を有する個体とC. hederifoliumまたはC. purpurascensとの倍加処理を伴う種間交雑においても小植物体の作出に成功した.これらのことを総じて上記のように判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
A) C. hederifoliumとC. purpurascensでは, 複二倍体と考えられる個体も作出されたが,倍加されていないと考えられた種間雑種が多くを占めたことから,これらの個体のin vivoでの倍加処理を試みる.C. coumまたはC. alpinumとC. mirabileとの種間交雑で得られた小植物体については,その雑種性を確認するとともに,in vitroでの倍加について検討する. 園芸品種とC. hederifoliumとの種間雑種および複二倍体の作出については, 複色花品種等の園芸品種特有の形質を有する品種を用いて種間雑種および複二倍体の作出を試みる. B) 園芸品種とC. hederifoliumや C. hederifoliumとC. purpurascensの種間雑種等,既に本研究室で作出している種間雑種を用いて,開花特性,花色発現などの特性を解析し,種間雑種における異ゲノム存在下での形質・特性の発現様相を解析する.
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