2018 Fiscal Year Research-status Report
自生種に見出した両性自家結実性と耐暑性形質のキウイフルーツへの導入
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17K07642
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 教授 (60135548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キウイフルーツ / 自生種 / 両性 / 自家結実性 / 環境適応 / 接ぎ木親和性 / 台木 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.両性Mh1と四倍体A. chinensis品種の交雑後代で,A. chinensisの2品種(雌)を種子親,両性系統を花粉親として得た個体は全て形態的に両性花を着生した.一方,両性系統を種子親とし,A. chinensisの雄系統を交配して得た後代では,雄花のみ着生した個体と,雄花と両性花を着生したものがあった.雄花では12%未満と低いものの花粉発芽が見られたが,形態的な両性花では花粉は発芽しなかった.両性系統Mh1の自殖実生は,両性花を着生し,1.6%と極めて低いが花粉発芽が確認された.A.chinensis×両性系統 Mh1の交雑個体(AP/H-1)にA.chinensis‘孫悟空’および両性系統 Mh6の花粉の授粉で種子が得られ,F2実生を得た. 2. A. chinensis‘アップル’と両性系統Mh1の交雑実生1個体が結実し,果実は,両性・自家結実性系統よりも大きかったが,A. chinensis‘アップル’よりは小さかった.成熟果実の可溶性固形物含量は8~12%,滴定酸含量は1.3~1.6%であった. 3.対照品種の‘ヘイワード’では,湛水処理開始7日目に葉やけが発生し,14日目まで落葉が生じた.一方両性系統Mh6は,処理開始7日目まで葉やけは見られず,14日目に2個体で見られたが,残りの1個体では見られなかった.‘ヘイワード’の湛水処理区の光合成速度は,処理開始3日後から急激に低下したが,Mh6湛水処理区では処理終了時まで‘ヘイワード’よりも高い値を示した. 4.両性系統Mh6を台木としたデリシオサ種‘ヘイワード’,チネンシス種‘レインボーレッド’,種間雑種‘香川UP-キ5号’,の接ぎ木3年目において,台負け,台勝ちの症状はなく,生育は正常であった.新梢伸長量は‘レインボーレッド’と‘香川UP-キ5号’に比べ,‘ヘイワード’でやや少なかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.両性自家結実性個体およびキウイフルーツとの交雑後代の性表現の発現様相については,これまでに12個体が着花に至っており,花器の形態形質および生殖形質についての調査が進展しており,さらに今後着花する個体について継続調査を行うことで,F1集団の評価をまとめることができる.また,F2実生が獲得できたことからこれらを対象とした調査が可能となった. 2.着果した個体の結実特性と果実形質を明らかにすることができた. 3.両性系統は,デリシオサ種キウイフルーツと比較し,耐水性に優れることが確認され,キウイフルーツとの交雑後代の形質に受け継がれる可能性が示唆された. 4.両性系統を台木としたデリシオサ種,チネンシス種および種間交雑品種の接ぎ木個体の初期生育を比較したところ,正常な活着と生育が認められ,台木としての利用できる可能性が確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の計画は,ほぼ達成できたことから,当初の予定どおり,引き続き以下の研究計画を実施することとする.1)両性自家結実性個体とキウイフルーツとの交雑後代のF2個体の生育特性,2)両性自家結実性個体およびキウイフルーツとの交雑後代の高温・強日射耐性,3)両性自家結実性系統を用いたキウイフルーツ育種と台木利用の可能性についての総括
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Causes of Carryover |
本年度は,消耗品の購入が予定より少なかったため残額が生じた.これについては翌年度分に合算して,物品と成果発表旅費に使用する予定である.
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