2017 Fiscal Year Research-status Report
Solanum macrocarponの細胞質を用いたナス雄性不稔系統の育成
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17K07645
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
一色 司郎 佐賀大学, 農学部, 教授 (40253588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナス / Solanum macrocarpon / 戻し交雑 / 雄性不稔 / 細胞質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、応募者が育成しつつあるS. macrocarponを細胞質親とする後代及び母系統用いて諸形質を3年間にわたり調査する。また、すでに既に開発済の6種類のCMS系統との比較を行う。さらに、各CMS系統の識別のためのDNAマーカーの開発を行う。 ナス‘Uttara’ S. macrocarponとその複二倍体と戻し交雑後代BC1を供試材料とした。これらについて、花粉のアセトカーミンによる染色率、花粉の人工培地上での発芽率、葯の裂開の有無を調査した。次に、S. macrocarponの複二倍体とBC1、ナス‘Uttara’を花粉親として用いた戻し交雑を行い、得られた種子をMS培地上に無菌播種した。さらに、葉緑体DNAのrbcL-ORF106領域およびミトコンドリアDNAのV7領域についてPCR-RFLP分析を行った。 S. macrocarponの花粉の染色率は、複二倍体が平均52.4%、BC1が平均47.7%で、発芽率は、複二倍体が平均0.6%、BC1が平均8.73%、結果率は11,7%、1果あたりの種子数は5.75個、種子発芽率は0%であった。PCR-RFLP分析では、ミトコンドリアDNAのV7領域について制限酵素ScrFⅠ、葉緑体DNAのrbcL-ORF106領域について制限酵素RsaⅠを用いた結果、BC1は野生種型であった。 以上の結果、S. macrocarponとナスとの複二倍体の後代の花粉稔性は、低いままであり、このまま戻し交雑をすることにより雄性不稔系統が期待できる。S. macrocarponのBC1にナス‘Uttara’の花粉を用いた戻し交雑で、後代の種子を得ることができた。したがって、今後、戻し交雑後代の育成を進めることで複二倍体経由での雄性不稔系統の開発が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世代を順調に進めることができたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も順調に世代を進め、戻し交雑第二代か第三代まで育成し、その時の稔性を確認する。
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Causes of Carryover |
物品費が想定外に高くなかったことと、旅費も当初予算よりも安かったことである。次年度には実験材料が増えるため物品費が高くなると思われる。
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