2018 Fiscal Year Research-status Report
Solanum macrocarponの細胞質を用いたナス雄性不稔系統の育成
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17K07645
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
一色 司郎 佐賀大学, 農学部, 教授 (40253588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナス / Solanum macrocarpon / 戻し交雑 / 雄性不稔 / 細胞質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、応募者が育成しつつあるS. macrocarponを細胞質親とする後代及び母系統用いて諸形質を調査する。また、すでに既に開発済の6種類のCMS系統との比較を行う。さらに、各CMS系統の識別のためのDNAマーカーの開発を行う。本研究では、S. macrocarpon とナス‘Uttara’から作出したF1をコルヒチン処理し複二倍体を作出し、さらに複二倍体を自殖した複二倍体自殖実生を作出した。これら複二倍体経由の個体を用いて戻し交雑をすすめていき、S. macrocarponの細胞質をもつ雄性不稔系統の開発を目指した。S. macrocarponの細胞質をもつナスの細胞質雄性不稔系統の育成の可能性を明らかにするために、花粉稔性調査、種子稔性調査を行った。花粉の染色率および人工培地上での花粉発芽率を調査した結果、BC1では染色率が約50%、発芽率が6%であった。BC2では染色率が25%、発芽率が0%と、どちらの値も下がっているので、花粉稔性は低下していると考えられる。 種子稔性調査における結果率を調べた結果、複二倍体自殖実生、BC1、BC2と世代をすすめていくにつれて値が高くなっているので、結果率は回復していると考えられる。1果あたりの種子数はBC1では複二倍体自殖実生よりも少しではあるが増えていた。しかし、BC2では種子数は0個になった。BC2で種子数が低下した原因は、交配を行った期間が10月と遅かったために、気温の低下により一定の期間の間に実が成熟しなかったと考えられる。来年の4月から7月ごろに交配を行えば、種が入った果実を収穫することが可能ではないかと思われる。BC2において花粉稔性は低下し、結果率は回復していることがわかる。よって、このまま戻し交雑を行うことで、複二倍体経由でS. macrocarponの細胞質をもつ雄性不稔系統の開発が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世代を順調に進めることができたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も順調に世代を進め、戻し交雑第二代か第三代まで育成し、その時の稔性を確認する。
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Causes of Carryover |
物品費が想定外に高くなかったことと、旅費も当初予算よりも安かったことである。次年度には実験材料が増えるため物品費が高くなると思われる。
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