2018 Fiscal Year Research-status Report
LED照射によるバラ花弁成長への影響および切り花品質向上技術への応用
Project/Area Number |
17K07651
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 邦夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30345871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 花弁成長 / 光波長 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
バラ切り花は蕾の状態で収穫されるが、切り前(収穫時の開花ステージ)の違いによってその後の蕾の開花程度や切り花の日持ち性が大きく異なる。本研究では、通常の切り前より早く収穫したバラ切り花の蕾を用いて、切り花の品質改善を目的に切り花保管条件の検討を行った。 まず、バラ切り花に白色光、赤色光および暗所処理を2日間連続して行い、異なる光条件が切り花の品質に及ぼす影響について調査した。白色光処理および赤色光処理では暗所処理より花弁の展開が促進されたが、新鮮重の増加には有意な差がみられなかった。蒸散量は白色光処理が最も高く、暗所処理が最も低い値を示した。白色光処理区および赤色光処理区では暗所処理区に比べ、葉のスクロース含量は5倍から10倍程度増加していたが、花弁での増加量はどの糖においても多くて2倍程度であった。 次に、葉から花弁への糖転流を促すため、シンク力を向上させると考えられているIAAを花弁に浸漬処理し、2日間連続で赤色光を照射した。しかし、2日後の花弁の糖含有量は、IAA処理の有無による有意な差はみられなかった。 以上のことから、切り花は収穫後に白色光や赤色光で光合成を促進させることは確認できたが、葉から花弁への転流促進には今回のIAA処理方法では不十分であることが明らかとなった。 本年度は糖代謝と光照射波長との関係についての調査が中心となり、当初予定していたエクスパンシンやXTHなどの細胞壁の緩みに関する遺伝子の解析ができなかった。これらの解析については引き続き次年度に対応する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度4月に所属機関を異動したため、実験に用いる切り花の状態や切り花処理時の光環境の違いにより、実験が思うように進まなかった。本年度後半からは実験環境を整備することができ実験を軌道に乗せることができた。最終年度である次年度は当初の予定通り研究を遂行できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度積み残した実験について次年度の前半に取り組むよう研究を計画している。当初の予定通り研究を遂行するためには実験サンプルである切り花の確保が重要となるが、新たな切り花供給先を確保できたため、実験のペースを上げることが可能となった。
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Causes of Carryover |
平成30年度4月に所属機関を異動したため、実験に用いる切り花の状態や切り花処理時の光環境の違いにより実験が計画通りには進まず、遺伝子解析用として計上していた消耗品類の経費を使用できなかった。。本年度後半には実験環境を整備することができたため、次年度においては、本年度予定していたエクスパンシンやXTHなど細胞壁緩みに関する遺伝子解析を行う予定である。その上で、最終年度として当初の予定通り全ての研究を遂行できるものと思われる。
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