2017 Fiscal Year Research-status Report
マンゴー品種間における花成制御機構の違いとその要因解析
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17K07652
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 准教授 (20330243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高居 恵愛 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70589770)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 花成誘導 / 低温遭遇 / FT遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.熱帯性品種の夏季開花におけるMiFT発現の確認と品種間差異の要因解析:マンゴー6品種のMiFT発現量を経時的に測定した結果、全ての品種において15℃以下の低温に遭遇する11月から12月にかけて発現量が増加していた。一方、熱帯性の‘Nam Doc Mai’と‘Khom’では9月から増加が見られ、これらの品種ではMiFTの発現に低温遭遇が必要ないことが確認された。春の開花期後、全ての品種でMiFT発現量は減少したが‘Nam Doc Mai’と‘Khom’では6月以降に再び増加した。また、この2品種のみで夏季の開花が確認された。このように、熱帯性品種ではMiFTの発現誘導に低温が必要ではないことが明らかとなった。一方、‘Khom’において夏季の開花前にジベレリン(GA)200ppmを処理したところ、開花が抑制されることが明らかとなった。今後MiFT発現量を測定して‘Irwin’との違いを解析する予定である。 2.花成誘導時のジベレリン処理が花器形成に及ぼす影響:‘Irwin’を用いて2017年12月から2月にかけてGA処理と環状剥皮を組み合わせた処理を4回にわけて実施し、処理後1ヶ月毎に葉のサンプリングを行っている。現在、花芽形成率および花器形態の調査中であり、今後MiFT発現量の測定とあわせて、GA処理の時期が花器形成に及ぼす影響を解析する。 3.冬季の気温が低温要求性品種と非要求性品種の花成に及ぼす影響:2017年11月から石川県立大学温室にて低温区(10~20℃)と高温区(20℃以上)を設け、‘Irwin’(低温要求性品種)と‘Nam Doc Mai’(非低温要求性品種)を栽培したところ、2018年の花芽形成率は両品種とも低温区で高く、高温区で低くなった。今後、栽培期間中のMiFT発現量の変化を調査するとともに、MiFT以外の制御因子に関する解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非低温要求性品種においてもMiFTの発現が花成誘導と関係することが明らかとなり、MiFTの発現制御機構に差異があることを示すことができている。一方で、非低温要求性品種においてもGA処理により花成が抑制されることが示された。この時のMiFT遺伝子発現の調査は未だ終了していないが、研究は概ね順調に進展していると考えている。また、石川県立大学にて実施中の実験に関しては予定より早く進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、前年度に採取したサンプルの解析を進めるとともに、下記の実験を予定している。 1.熱帯性品種のMiFT発現制御機構の解明:熱帯性品種においてMiFTの発現誘導に低温遭遇は必要でないことが示されたが、低温以外のどのような要因が熱帯性品種のMiFT発現を制御しているかは不明である。夏季開花する品種を用いてGA処理実験を行い、その時の遺伝子発現の変化を解析するとともに、MiFT遺伝子のプロモーター領域の解析も進めていく。 2.植物ホルモンの解析:GAがマンゴーの花成を抑制することは明らかとなっているが、他の植物ホルモンの影響は明確でない。昨年度、石川県立大学にて冬期の温度に差をつけて栽培した個体について、植物ホルモン含量を測定し、花成とホルモン量との関係を解析する予定である。 3.マンゴーにおける花成抑制因子(VP)の探索:昨年度の実験で得られたサンプルについて、遺伝子発現量の差異を網羅的に解析することにより、花成抑制因子(vegetative promoter: VP)の探索を進める予定である。
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