2017 Fiscal Year Research-status Report
より美しい青色花品種育成のための花色発現メカニズムの研究
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17K07655
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
谷川 奈津 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (20355720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立澤 文見 岩手大学, 農学部, 准教授 (30320576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 花色発現機構 / 色素 / アントシアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒメツルニチニチソウ(Vinca minor L.)について、赤紫色花の色素関連化合物の組成をHPLCにより分析した。さらに色素関連化合物を溶媒抽出したのち、単離精製を行い、塩酸加水分解を用いたアグリコンおよび結合糖の同定、FAB-MSやNMRによる機器分析によって、主要アントシニアンおよびフラボノールの構造決定を行った。その結果、アントシアニンは、これまでに報告の無い化合物であることが示された。また、既報であるヒメツルニチニチソウの青紫色花の主要アントシアニンおよびフラボノールの構造と比較すると、アグリコンはどちらも同じデルフィニジンおよびケンフェロールであり、両者の違いは、アントシアニンの7位水酸基における糖の結合の有無、およびフラボノールの7位水酸基に結合する糖の種類の違いであることが示された。今後ヒメツルニチニチソウにおける青紫と赤紫の花色の違いを決定する因子の解明を進めるために、両花色について、測色計による花色測定、花弁の吸収スペクトルや搾汁pHの測定等、花色に関する基礎的なデータを収集した。また、花色再現実験に使用するための色素関連化合物を大量に精製した。本研究で対象にしているその他の植物についても、花色の各種測色、HPLCによる色素関連化合物の分析等、花色に関する基礎的なデータの取得を行った。また、大量に栽培し、花弁の収集を行った。これを用いた色素関連化合物の抽出および単離精製、構造決定を順次進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の予定通り進んでいる。特にヒメツルニチニチソウについては、次年度以降の計画予定まで進めることができた。他の植物についても、今年度予定していた花色に関する基礎データの収集、色素関連化合物単離精製のための材料収集を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書の予定通りに栽培と実験を進めていくとともに、未報告化合物の構造決定等、本研究の遂行にともなって得られる情報も蓄積していく予定である。
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Causes of Carryover |
人件費が当初計画していたほどにならなかった。次年度の研究に必要な試薬や実験器具などの消耗品を購入する物品費として有効に使用する。
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